J'ai tué ma mère / I Killed My Mother / マイ・マザー/青春の傷口 ~Xavier Dolan監督デビュー作


Xavier Dolanには参った。この監督デビュー作は、年で数えると20歳の時の作品になるけど、つくり始めたのは10代の頃だったとすると、この完成度はすごい。自分の世界が既にあるし、こだわり方が半端じゃない。そういう細かいことを気にする性格なのかもしれないけど。完璧主義者。
それに、美意識がとにかく高い。彼自身、美しい人だと思うけど、彼の周りの人も美しい人ばかり。あと、服から部屋の壁、食器などの小道具までも完璧に整えられていて、全部に気を使っていそう。
今回の話は半自伝的な物語りだそう。母親への苛立ちを全力でぶつける高校生の息子。母親もちゃんと親の視点で見てるときもあるけど、マイペースな言動で息子の機嫌をさらに損ねてしまう。父親とは離婚していて、仕事人間の彼はほとんど信頼されていない。
ゲイである主人公には付き合って2ヶ月になる恋人がいる(この彼がかっこいい)。彼のリッチな母親は息子に放任的で、ゲイであることも受け入れている寛容的な人。
主人公はまだ親にカムアウトしていない。
タイトルの『I Killed My Mother』は、親についてのレポートの課題が出された時に、母親に対して怒っていた主人公が先生についた嘘のこと。その若い女の先生が親身になって彼の話を聞いてくれる。
これが反抗期なのか、それともこの家庭だったからか、とにかく口喧嘩が激しい。次作『Les amours imaginaires / Heartbeats』では、口数が少なかったから、最初にこっちを見ていた私はびっくりした。今作の方がフランス映画らしいのかもしれないが、字幕を追うのが大変だった。
ゲイの監督が女性を描く作品は素晴らしいものが多い。例えば、Pedro AlmodóvaFrançois Ozonなど。芸術家にゲイが多いのは、男性性の中に女性性を多く持っているから感性が豊かだといったようなのをどこかで読んだことがあるが、そういう理由もここで発揮されている。10代の男の子がここまで母親のことを描写できるだろうか?実際の母親を観察して体験したからできることかもしれないけど、本当に感性が優れているんだと思う。
でも、ナルシスティックな部分はあって、自撮のモノローグが間に挟まれている(『Heartbeats』では、インタビューが挟まれていた。好きな演出法なのかな) 。
あと、フランス語の歌の使い方も上手い。『Heartbeats』では、古いフランス語の歌と、現代の英語の曲が対比的だったけど、今作は全体的に暗い音楽が多かった中に、若い女性の声のポップなフランス語の曲が印象的に使われていた。
他にも、カナダのフランス圏生まれなので、カナダの自然が出てくるのが特徴なのかな。今回はイチョウの葉っぱのじゅうたんがきれいなイメージ・シーンに使われていた。
あと、びっくりしたのが、『Heartbeats』の金髪美人君が出てきたこと。彼はDolanファミリーなのかな?

TOPの画像はTumblrのTLに流れてきてLikeしてたもの。この映画のシーンとは知らなかったからびっくりした。やっぱり彼のセンスはすごい。
ちょっとネタばれになってしまうけど、母親が息子がゲイだと知ったときに、『タイタニック』をあんなに気に入って観てたのはそういう理由だったのね。と納得する場面も彼のセンスが良い証拠。

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