The Bling Ring / ブリングリング ~美しいイスラエル・ブルサードの発見


この映画の主人公は誰なんだろう?
物語の基となった事件の首謀者はレベッカ()だけど、この映画で輝いていたのはマーク()だと思った。

マークは西海岸の高校にやって来た転校生。
レベッカに気に入られ、彼女の仲間になっていく。
2人はレベッカの部屋でゴシップ誌を見ながら、セレブのファッションについてお喋りする。
マークは、芸能界志望のニッキー()の服装を見立てたりもする。
セレブの家に侵入してクローゼットから盗んできたブランド品をベッドの下のトランクに隠していて、部屋にひとりっきりの時、盗んだピンクのハイヒールをこっそり履いてる。

映画の中で、マークの性的嗜好がはっきり描かれてるわけではない。
マークがレベッカのことを好きなのは見ていてわかる。
でも、それは同性的な意識だと思った。

ソフィア・コッポラの映画に出てくる女の子はいつも特別かわいく撮られているけど、男の子がかわいいことはあんまりない。
ヴァージン・スーサイズ』の男の子たちは固まりとして存在していて、ジョシュはまた別で男らしくて。
だから、マークを演じたIsrael Broussardがこんな風に耽美に撮られているってことは、マークは女の子扱いなのかなって思った。

Israel Broussardはたれ目に大きな瞳で、ぽちゃってしてるとこがさらに女性らしい雰囲気を漂わせている。
ゆるやかなウェーブヘアーも中性的な印象を強くしている。
このまま大きくなれば、Mr. BIG(Chris Noth)みたいになりそうだと思った。

そう見ると、この逆紅一点マークは、Gay BFFになるわけで。
でも、『禁じられた10代』の場合の様な幸せな関係には見えなかった。
Dirty Girl / カリフォルニア・ガール~禁じられた10代~ ~最高のGBF

女の子の方が賢くて、男の子の方が立場が低い構図は変わらない。
女の子の両親が離婚している状況も似ている。
違うのは、レベッカは決して最後まで自分の弱みを見せないところ。
そのためにだったら、友だちを売ることもできる。
優しいマークは利用されて捨てられたみたいになっちゃう。

だからってレベッカが悪だって決め付けはされてないけど、悪名を名声に変えてしまったニッキーや、そもそも名前も挙げられらなかったサム() など、女の子たちのさっぱりした動きに比べて、マークは甘すぎる。
そこはやっぱり男の子なのかなって思った。
一連の犯罪行為やクラブのパーティでも、得意になって大胆なのは女の子たちで、マークは一歩下がったところにいた。

あーでもやっぱり主役という華があったのは、ニッキーを演じたEmma Watsonだったなあ。
このグループの中で1番のドラマクイーンを1番知名度のある女優さんが演じたことで、この役のおかしさが際立った感じ。
あと、ニッキーとサムとお母さん役のも最高だった。

音楽については、今までで1番一般リスナーに寄ってるなって思った。
単純に時代が今で、自分もそういう音楽聴いてるから耳に入ってきただけかもしれないけど。
だから、その点であんまりソフィア・コッポラ趣味って感じがしなくて、ちょっと若者ぶりたくて無理してない?って思っちゃったけど(台詞の若者言葉もすごかった)。
それでも、背景で流している曲の歌詞で物語を説明するのは今回もすごい。
特に好きなのは、M.I.A.の「Bad Girls」、Kanye Westの「Power」、Frank Oceanの「Super Rich Kids」。

左上から実際のレベッカのRachel Lee、実際のマークのNick PrugoとNickの母と妹

この写真ではすごく普通に見えるし、かわいい子どもたち。

Fat Kid Rules the World ~太ったオタクが、ガレージ・ロックと出合ったら


予告編を見ただけで感動したけど、映画自体もいっぱい感動できる作品だった。

主人公のトロイ()はめちゃくちゃ太っていて、地味で大人しい生徒。
高校では幼なじみとも話さなくなっちゃったし、ランチ食べるのも1人。
クラスの女の子見ては妄想。できることなら死んでしまいたいとも妄想してる。
厳しいお父さんからは、ダイエットを命じられてるし、優秀な弟()にはバカにされてる。
隠れて食べることと、オンライン・ゲームだけが楽しみ。

そして、ある日ついに自殺を決行する。
走ってるバスの前に飛び出した。
それを止めに入ったのがマーカス()との出会い。
マーカスはトロイを助けたお礼にお金を要求する。
最初は断ったけど、お金を渡してしまうトロイ。
これで解放されたと思っていたら、学校でマーカスと再会する。
グランジ・ファッションのマーカスは、気になっていたロックな女の子イザベル()から好意を持たれているみたい。
押しの強いマーカスに勝てないトロイは、渋々ながらマーカスの言うことを聞く。
自由気ままなマーカスは、実は在校生じゃなくてフリーターだし、家にも帰らないホームレスだし、人気のバンドからも追い出されたみたいだし、 いつもクスリでハイになってるみたい。
そんなマーカスが勝手に言い出した、一緒にバンドを組んでライブをやる、に振り回されるトロイ。

余計な波風たてたくないっていう自分ルールで殻にこもってたのを無理やり出されるトロイ。
ただの太ったオタクが、パンク・ロックの格好をしてバンドやってるって言ったら認めてもらえるようになった。
女の子とも話ができる。
連れ出したのはマーカスだけど、トロイは自分が変わった、変われるってことに興奮して、そこから努力するようになる。
嬉しくって、わくわくするトロイの興奮した表情がすごくかわいくて泣いた。

そこで家族が障害にならないのもいい。
実は、この家族はお母さんを亡くしていて、トロイが今の状態になってしまったのも、それがきっかけだった。
お父さんは、何とか家族を元のままの状態で保ちたいって思ってる。
トロイに厳しいのも、変わってしまったのを元に戻したいから。
だから、トロイに友だちができて、外で活動するようになったことを内心嬉しく思っている。
トロイの気持ちが外へ向いたことを応援してくれる。
過保護すぎるくらいに思われているトロイ。
そして、子どもも親のことを心配しているし、兄弟同士も心配し合っている。
お母さんの死をちゃんと受け入れて、気持ちの整理ができていなかったからギクシャクしていただけ。

障害になるのはマーカスだった。
マーカスはトロイみたいに支えてくれる家族がいない。
だから自分のこともちゃんと見つめられないし、 大事にできない。
今、食べるものがあれば、気分がよくなれば、屋根の下で眠れれば。
その瞬間のためにしか考えが及ばなくて、あとのことはすべてでっち上げ。
だって、その先のことを考えたら怖くなるだけだもん。
考えなければ、その時が来るまでは何も感じない。

何も持っていない、いつ死んでもおかしくないようなマーカスは全然死にたいなんて思ってなくて、守られていて外面は満たされているトロイが死にたいって思ってる。
でこぼこな2人のバランス。
あくまでも主人公は太っちょのトロイだから、トロイの成長のが中心でマーカスがどうなったのかわからないのがちょっと残念だけど、オタクの成長物語と壊れた家族の再生物語としては上出来。

いけてないオタクの高校生が主人公の話は最近よく見るけど、この話はそういうのとはちょっと違った。
まず、トロイには一緒に底辺でじゃれあう仲間すらいなかった。
だから構造的には、イケてるやつがオタクを改造して人気者にするっていう『She's All That』みたいな、シンデレラ物語みたいな方が近いのかな。
でも、その主人公が男の子だから、相手の男の子と恋に落ちるロマンスが話の中心にならない。

それに、オタクからイケてるところへ上がる階級の差が小さい。ってかほとんどない?
だって、パンク・ロックやってる人たちも、学校ではオタクとそんなに変わらないスクール・カーストの位置でしょ?
もしかして、成績優秀(体育と技術家庭以外は)だったところからさらに下がってしまってるかもしれない。
でも、学校の規準以外で、見る人によってはかっこよく見えるようになった。

そして、変わったきっかけが、ガレージ・ロック(パンク・ロック)だったってのがいい。
ロックの中でも特に見た目に気を使わないジャンルだから、太っていても気にされない。
汚い格好をしていても平気。マーカスなんてほぼ服着替えてないし。その汚れた格好も、グランジってスタイルになってしまう。
そこで、マーカスという役にカリスマ性がなければ、この話はつまんなくなってしまうくらい、マーカスの容姿は大事。
マーカスを演じたMatt O'Learyは、その昔『スパイ・キッズ2』とかに出ていて、あの頃から整った顔立ちだったけど、成長しても崩れていなくて、この汚れたパンク・ロッカーの格好がハマっていた。
『ラストデイズ』のマイケル・ピットみたいな。

音楽的には、Bass Drum Of DeathやThee Oh Seesなど最近のバンドが使われてた。
台詞の中にも、「The Jesus and Mary ChainとかThe Sonicsみたいなドラム」って話も出てた。

これは原作本があって、 それの映画化なんだけど、びっくりしたのがが監督してたってこと!
シーズ・オール・ザット』のキモい有名人じゃん!
SLC PUNK!!!』も好きだったなあ。ってちょっと懐かしくなった。

しかもヒロイン的女の子は、『恋のからさわぎ』などのジュリア・スタイルズっぽいし、弟はジェシー・アイゼンバーグとローガン・ラーマンの若い頃を足して割ったような感じの子だし。
1990年代の終わりから2000年代初めの学園映画に感化された身としては、興奮せずにはいられない要素もいっぱいだった。

Mud / -マッド- ~少年は夏に冒険する


季節を感じるとき。温度や音や、色やにおい。
そうやって季節を感じるときに思い出す映画がある。

欧米は、日本よりも夏休みが長いので、夏の子どもたちの物語は学校の外にある。
たっぷりある時間を使っていつもと違う冒険ができる。

夏休みの少年たちの冒険を描いた映画はたくさんある。
代表的なのは『スタンド・バイ・ミー』。

ひたすらおバカな作品もあるけど、ちょっと傷ついて成長するような物語が好き。

『Mud』の主人公はだろうけど、Ellis()とNeckbone()の2人の少年の冒険物語の部分を楽しんだ。
特に、Tye Sheridanは注目されてるだけあって、存在感がすごかった。
まだあどけない少年の見た目なのに、声に艶があって、そのしっかりとした話し方に自信が感じられ、説得力を持っていた。
かといって大人びすぎてなくて、若々しい無鉄砲さ、自由さ、大胆さがあって、また時々見せる幼さに母性愛もくすぐられる。
Matthew McConaugheyやReese Witherspoonといった、有名俳優に並んで重要な役に選ばれたのに納得できる。
Jacob Loflandの方はまだ子どもで、その場に置かれた状況の中にいるって感じに留まっていたけど、その純粋な感じがよかった。
個人的にはJacobくんのが好み。(丸刈りに弱い)

この映画が他の少年たちの冒険映画と違うと思うのは、中心となる子どもが2人だけだったっていうのと、何者かわからない男=Mud(Matthew McConaughey)の物語に関わったのが子どもだったというのからかな?
それに、Matthew McConaugheyの演技が強烈で、子どもの物語以上に印象深いのもある。
その点では、Matthew McConaugheyは名脇役ってよりは、花形役者なんだろうなって思った。

Ellisは純粋な愛を信じている子どもの代表。
お父さんとお母さん、Mudとその彼女、高校生の女の子はみんな大人。
大人は愛が壊れることを知っていて、だからしょうがないって引くことができるし、純粋なものなんてないって思ってて、嘘をつける。
子どもの素直な気持ちが物語をドラマチックなラストへ導いた。




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