Casa Grande / 悩めるジアンのバラード ~おぼっちゃんの肉

by - 10/24/2014


ブラジルのリオが舞台。
主人公ジアンは、3階建てプール付きの豪邸に住む高校3年生。
進路について考えるとき。
だけど、親の助言にも、本人はぼんやりして、なんとなく返事をしてるだけ。
彼が今1番夢中になっているのは異性のこと。
住み込みのお手伝いさんの部屋へ夜中に忍び込んで、何かできないかと挑戦するんだけど、お手伝いさんには子ども扱いされていつも失敗に終わる。
友だちとクラブへ遊びに行ってナンパを試みるも、ひとりだけ失敗。
そんなとき、父親の事業がうまくいっていなくて実は家にお金がないという問題を抱えていて、彼を学校まで送り迎えしていた運転手が首になってしまう。
運転手は、ジアンにナンパの手ほどきをしてくれて、彼も慕っていた。
バス通学になって、彼は別の地域の女子高生と出会う。
美人で頭が良い彼女に一目惚れしたジアンは、それ以外のことを忘れるくらい彼女に夢中になる。
彼女とうまくいき、自分の欲望が満たされるほど、それ以外のうまくいかないことに余計に腹が立つようになる。
少しのことでも不安になるし、イライラがおさまらない。
それまで見えないようにされていたから気づかなかった家庭のほころびも、親に余裕がなくなってきているから目につくようになる。
そして、彼女との仲もうまくいかなくなる。
思春期特有のナルシスティックな考え方と、おぼっちゃん育ちの甘えでできている彼に、それはもう耐えられない。
だから、進路に関わる重要な試験の途中で逃げ出してしまう。
彼が向かったのは、元運転手と元お手伝いさんたちのいるところだった。

監督の半自伝的映画だというので、お金持ち社会を皮肉っぽく描いているんだけど、言葉がわからない(字幕だけでは細かいニュアンスが伝わらないところもある)不利もあるのか、冷めて見られず、気分が悪かった。
とにかく主人公のおぼっちゃんが育つ、お金持ち家族の甘えた考えと行動にいらいらさせられる映画だった。
自信だけあって他は何もない父親、心配性で口うるさくて厚かましい母親、ぼんやりぼっちゃん、末っ子扱いがかわいそうだけどちゃっかりしている妹と、家族構成は完璧なのにね。

何が私の琴線に触れなかったかって、きっと主人公の男の子の肉だと思う。
中年の親父みたいなゆるい身体の白人の男の子があんまりかわいくないから。
同級生には、体の引き締まった美しいブラジル!って感じの男の子がたくさんいたので、そこは楽しかった。
でも、その体型こそが現実なんだろうね。
毎日、お手伝いさんがつくったご飯を食べて、スポーツするわけでもなく、てきとうにふらふらしていたらあんな体型に育つよね。
主人公が一目惚れする女の子は主人公に比べて貧しい家庭の子で、希望する大学は公立で、マイノリティの入試優遇枠を使うつもりだと考えている。
そういう話が知人が集まった団欒の場で語られる。
女の子が「私は黒人と日本人の血が入っている」と言うと、大人のひとりは「日本人!」って笑う。
なるほど、そういう感じなのかと思った。
学校でクラスに何人黒人がいる?とかそういう話も出てくる。
あと、ブラジルのお金持ちの描かれ方として、子どもの誘拐を語ったいたずら電話がかかってくること。
日本の「オレオレ詐欺」みたいに、怪しい電話がかかってきたらこう対処するみたいなやり方がもうあるくらいに、当たり前の風景で描かれててびっくりした。

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