BIZARRE ~都会の中の透明な存在


主人公のモーリス(Pierre Prieur)18歳はフランスから出てきてブルックリンで暮らしている。バーガー店でバイトして、ボクシングジムのシャワーを借りて、廃車を寝床にしているような生活。そんな彼をたまたま見かけたベティ(Rebekah Underhill)が、自分たちの経営するバー「BIZARRE」のバイトをする代わりにと部屋を与える。共同経営者のベティとキム(Raquel Nave)は、モーリスを「ベイビー」とよび、子どもみたいにかわいがる。バイトの同僚ルカ(Adrian James)は、何も知らないモーリスに優しく仕事を教えてくれて、ベティとキムとも友だちで親しくなっていく。そして、ある日ルームシェアを締め出されたルカに、モーリスは自分のベッドを提供する。そこからさらに仲を深めていく。

1/3は、バー「BIZARRE」の“普通じゃない”パフォーマーたちの映像。性別年齢にこだわらず、異形が醜いという価値観のない世界。ブルックリンという様々な人びとが集まる場所ならではのアート感覚。別の1/3は、多くを語らず正体不明なモーリスが電車に乗ったり路上を歩いたり、ブルックリンの街をさまよう映像。夏だったり、冬だったり、季節が前後するので話の筋とどこまで関係あるのか謎。そして残りの1/3が、ブルックリンに行き着いたモーリスとルカがゆっくり歩み寄っていく様子。ここが1番観たいところだったし、物語のある部分だったけど、全体の中ではこれくらいの分量でちょっと残念だった。

Heaven Knows What / 神様なんてくそくらえ ~NYホームレスのジャンキーの愛

『Heaven Knows What / 神様なんてくそくらえ』に出てきたホームレスの若者たちも、街の中に存在しているんだけど認知されてなくて、独自の世界で生きている感じがした。『BIZARRE』の若者たちも、パフォーマーたちのように他の場所では存在が認められなくても、生きられる場所がある。その中で激しく愛を求めていた。だけどモーリスの場合は、あえてそうしているのか、誰ともつながらない。そういうことができてしまうのが、都会ならではなんだと思う。こっちがしゃべりたくなければ余計な詮索はされない。透明な存在になることができる。ただ、住む場所や装いを変えても、自分の核の部分はそのままで、変わらずに存在していた。裸=生まれたままの姿っていうのは、その自分の核の部分でもあると思う。まわりの人にそう見えているかどうかじゃなくても、自分の中での意思の問題で、裸をさらすってのはできる場所とできない場所がある。モーリスはどんなに愛を得ても、それができなかった。

中性的なルカがNirvanaのシャツ着てるのがすごい似合ってた


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