The Hunger Games: Mockingjay - Part 2 / ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション ~悪夢より恐ろしいゲーム


『ハンガー・ゲーム』シリーズの最終回。原作を読んで内容を知っているから、泣くのはわかっていたけど、それだけじゃなくて、最近の変わりつつある世界の状況もあって、別のところで考えるところが多かった気がする。

原作で好きな場面は、洗脳されたピータ(Josh Hutcherson)が「本当?本当じゃない?」と確認しながら自分を取り戻していくところで、好きな色の話とパンの話。これは、ピータとカットニス(Jennifer Lawrence)だけが共有している思い出だから。特に、好きな色の話は、ジェニファー・ローレンスとジョシュ・ハッチャーソンが醸し出す雰囲気あっての場面だったと思うから強く印象に残っているのもある。

映画では、フィニック(Sam Claflin)の場面が辛かった。ようやく平穏を手に入れ愛する人と幸せになったのに、命の危険がある争いに出向かなくてはいけないのか。あと、ゲイル(Liam Hemsworth)に対してあんな明確に「嫌い」って言ってたっけ?って思った。ゲイルは虐げられて生活していたところから、力と活躍の場を得て、世界が広がっていった。カットニスはずっと家族のためだったり、大切な友だちのために行動してきた。直接関わった人が1番で、それはとても利己的なのかもしれない。ゲイルは大勢の虐げられてきた人々のために戦うのだから。それが革命の大きな目標であり、希望になる。だけど、その争いには多くの犠牲が生まれる。それはどうなんだろう?と思ってしまう。『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』を観たときも、アラン・チューリングとその仲間たちは、結果多くの命を救った。だけど、その中で仲間のひとりであるピーターは自分の兄弟が乗った船を見殺しにしなくてはいけなかった。それは何千万人分の1の命かもしれないけど、ピーターにとっては比べられる重さではなかったと思う。

だから、原作では蛇足だと思っていた最後の場面が映画では助けになった。あの天使のような子どもと戯れるピータって画面は最高に幸せだったし、カットニスが眠りから覚めて泣く赤ちゃんに話しかける言葉がよかった。

Did you have a nightmare? I have nightmares too. Someday I'll explain it to you. Why they came. Why they won't ever go away. But I'll tell you how I survive it. I make a list in my head. Of all the good things I've seen someone do. Every little thing I could remember. It's like a game. I do it over and over. Gets a little tedious after all these years, but... There are much worse games to play.
imdb


今まで関わってきた人を思い浮かべるということが、人ひとりが生きるということだと思う。そうやって、全世界・歴史から見ると小さく生きているかもしれないけど、人は生きてつながっていくんだと思う。だから、それを他の大きな力とか人によって突然終わりにされるのがすごく嫌だ。ある人が、「どうして人は過去の歴史から学ばないのか」と言っていたが、そのとおりだと思う。




カットニスとピータ、ジェニファー・ローレンスとジョシュ・ハッチャーソンともお別れ。TT


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共犯 / Partners in Crime ~つながりの糸


2014年の台湾映画。登校途中、同じ学校の女子生徒の死体を3人の男子生徒が偶然発見した。3人はお互いに面識はなかったが彼女の死の謎を探るために協力することに……っていうあらすじで、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演の『BRICK ブリック』(2005)みたいな話かなと思ったら違った。

3人の男子生徒はわかりやすくそれぞれ違うタイプ。ホアン・リーファイ(ウー・チエンホー)はいじめられていて、学校で孤立している。イエ・イーカイ(チェン・カイユアン)は先生に目をつけられている問題児で、スケートパークやネットカフェで時間をつぶす不良生徒。リン・ヨンチュン(トン・ユィカイ)は眼鏡をかけた秀才で、男女問わず友だちが多く放課後はファストフード店で勉強会をしたりしてる優等生。

この3人は死亡現場を目撃したということで、学校のカウンセリングを受けさせられる。そこで先生(やる気ない)が「死んだらどうなると思う?そこで終わり。死んだら何もなくなって、遺族が悲しむだけ」のようなことを言う。これが、この話の言いたいことのひとつなのかなと思った。あと、若手俳優(多くが新人)の瑞々しさ、白い制服、緑の木々と水、夜の黒と液晶画面の青白い光とネオンのピンクみたいな映像がすごくきれいでよかったし、俳優たちみんな顔がよくて(肌もきれい!)、その子たちを美しくかわいく撮ろうって感じがしたのもありがたかった。


この映画を観た同じ日に、これを読んでいた。
「秋葉原事件」加藤智大被告が「黒子のバスケ」脅迫事件に見解表明!(篠田博之) - 個人 - Yahoo!ニュース
そこで出てきた「つながりの糸」という言葉が思い出された。

孤立が苦痛だがBすれば苦痛から解放されるのであり、苦痛から逃れられる手段になり得る行動Bは、自殺だけではありません。最も根本的な対応をするなら、孤立が苦痛でも、孤立を解消すれば苦痛から解放されます。
では、孤立を解消するにはどうしたらいいのでしょうか。無理矢理に社会との接点を作ればいいのです。渡邊氏の言葉では「つながりの糸を仮設する」ということです。


学校で孤立し、孤独だったホアン・リーファイは、「つながりの糸」をこの出来事で得た。この糸をどうしても切らしたくないために行動する。彼の必死さは相当なものだったのだろう。それは、家族を突き放すほどだったよう。妹(サニー・ホン)は同じ学校だったけど、いじめられている兄と話しているところを見られると自分もいじめられるかもしれないから、学校では他人の振りをしていた(それがどちらの案かはわからない)。母親は自営のクリーニング店の壁に子どもたちの写真をたくさん貼るくらいかわいがっていたようだし、妹も兄を心配していた。でも、「つながりの糸」は家の中じゃなくて、社会に張らなければ意味がないとホアン・リーファイは考えたのかもしれない。

亡くなったシャー・ウェイチャオ(ヤオ・アイニン)は、「つながりの糸」を諦めてしまっていた。母子家庭でキャリアウーマンの母親との間に溝ができ、家庭で孤独を感じていたシャー・ウェイチャオは、お金持ちとか美人とかで目に付き、クラスメートともうまくいっていなかった。だから彼女は全部を手放すことにした。だけど、クラスでも地味な生徒チュウ・チンイー(ウェン・チェンリン)は、そんな風に突っぱねる彼女にも分け隔てなく接してきた。シャー・ウェイチャオはそれが不思議だったからなのか、嬉しかったからなのか、彼女に「つながりの糸」への道筋を残した。


でも、糸がつながってるだけではだめ。生きているからこそ、そのつながりが意味のあるものになる。いろいろ迷って悩んで失敗もして、でも生きているからそういうことができる。死んでしまったら終わりなんだと思った。残された者が悲しむだけ。死んだ者はそれを知ることができない。

あと、孤独のためにつながりの糸を必死で求めて犯罪にまでなってしまうということでは『クロニクル』を思い出した。

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ティーン映画ミリしらつくってみた(初級・中級・上級)

TLで見かけたのに憧れてティーン映画版のミリしらつくってみた。
一応、いろいろなサイトからデータを集計して初級・中級・上級にしてみた。
今回調べたときに使ったキーワードは、

  • teen 
  • coming of age
  • high school

なので、完全にティーンっていうわけじゃなくて、『スタンド・バイ・ミー』とか『大人は判ってくれない』とか青春って感じのものも含まれてて判断が難しかった。よって年代的に上級がそんなに難しくないという結果になってしまった。あと、選ぶ画像も、もっと画的にわかりやすい場面にしたらよかったかなと後になって思った。

初級


(左上→右下)
Clueless / クルーレス (1995)
The Breakfast Club / ブレックファスト・クラブ (1985)
Dazed & Confused / バッド・チューニング (1993)
Mean Girls / ミーン・ガールズ (2004)
Fast Times at Ridgemont High / 初体験/リッジモント・ハイ (1982)
Ferris Beuller's Day Off / フェリスはある朝突然に (1986)
Heathers / ヘザース/ベロニカの熱い日 (1988)
10 Things I Hate About You / 恋のからさわぎ (1999)
Juno / JUNO/ジュノ (2007)
Superbad / スーパーバッド 童貞ウォーズ (2007)
American Pie / アメリカン・パイ (1999)
Grease / グリース (1978)

1970年代 1
1980年代 4
1990年代 4
2000年代 3

なかなかバランスよくなっている。これらはどんなランキングでも上位に入っていた作品。ティーン映画といったらの代表作がわかった。
華の1999年作品がすでに2作品入っている。
1999年はティーン映画にとって黄金期だった (1999年に公開された最高のティーン映画15作)
あと、2007年のマイケル・セラの活躍がすごい。

中級



(左上→右下)
Sixteen Candles / すてきな片想い (1984)
Dead Poets Society / いまを生きる (1989)
Rebel Without a Cause / 理由なき反抗 (1955)
Say Anything / セイ・エニシング (1989)
The Perks of Being a Wallflower / ウォールフラワー (2012)
Rushmore / 天才マックスの世界 (1998)
Bring It On / チアーズ! (2000)
Pretty in Pink / プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角 (1986)
Election / ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ! (1999)
Napoleon Dynamite / ナポレオン・ダイナマイト (2004)
Donnie Darko / ドニー・ダーコ (2001)
Easy A / 小悪魔はなぜモテる?! (2010)

1950年代 1
1980年代 4
1990年代 2
2000年代 3
2010年代 2

80年代が多いけど、2010年代も入ってきて、これまたいい感じだと思った。今回は、モリー・リングウォルドが2回登場。やはり80年代青春映画の女王だ。

上級


(左上→右下)
Ghost World / ゴーストワールド (2001)
Almost Famous / あの頃ペニー・レインと (2000)
Never Been Kissed / 25年目のキス (1999)
She's All That / シーズ・オール・ザット (1999)
The Last Picture Show / ラスト・ショー (1971)
Back to the Future / バック・トゥ・ザ・フューチャー (1985)
Carrie / キャリー (1976)
Brick / ブリック (2006)
Cruel Intentions / クルーエル・インテンションズ (1999)
Boyz n the Hood / ボーイズ'ン・ザ・フッド (1991)
American Graffiti / アメリカン・グラフィティ (1973)
Weird Science / ときめきサイエンス (1985)

1970年代 3
1980年代 2
1990年代 4
2000年代 3

やっぱりバランスが悪い。1999年作品が3つもある。これは改良が必要だ。

ただ、その他の候補がこれらだったので、そんなに変わらないかなとも思うけど。
The Outsiders / アウトサイダー (1983)
Risky Business / 卒業白書 (1983)
Footloose / フットルース (1984)
Empire Records / エンパイア レコード (1995)
Can't Hardly Wait / 待ちきれなくて… (1998)
The Virgin Suicides / ヴァージン・スーサイズ (1999)
American Beauty / アメリカン・ビューティー (1999)
The Princess Diaries / プリティ・プリンセス (2001)
She's the Man / アメリカン・ピーチパイ (2006)

続きは、年代別でやってみたものをとりあげる。

Maze Runner: The Scorch Trials / メイズ・ランナー2: 砂漠の迷宮 ~主人公をとにかく進めるゲーム

Maze Runner: The Scorch Trials

迷路を出た後には、また別のミッションが待っていた!ということで、今度の舞台は砂漠。前回同様、コンピュータゲームを進めているようなドキドキハラハラ感で、今回はさらにグロさが増していた気がする。しかも4DXで観たからアトラクション感が高まった。

『メイズ・ランナー』の主人公トーマス(Dylan O'Brien)は、びっくりするくらい中身がない。記憶を操作されているからってのもあるかもしれないけど、どんな人物なのかってのが全然わからない。だけどなぜか人を引きつけるという魅力だけで主人公をやっている。この2時間くらいの映画の中で、トーマスはほとんど当たって砕けろ精神で動く。
仲間たち「作戦は?」
トーマス「速く走れ!」「逃げろ!」「捕まるな!」
って感じ。しかもなんで逃げるのか?っていうのは、仲間を生かすため。全員で助かるっていう目的のためだけ。単純明快。うじうじエモく悩まないのがいいね。
昨今のアクション、ファンタジー、Sci-Fi系映画原作のティーン向け小説(YA)ってほとんどが女性作家なんだけど、『メイズ・ランナー』は男性(ジェームズ・ダシュナー)なのが違いなのかな?(あと、年齢はだいたいみんな40代(1960~70年代生まれ)だけど『ダイバージェント』シリーズの作者ヴェロニカ・ロスだけぐんと若い(1988年生まれ)。だから苦手なのかな・・・世代は同じはずなのに)

そんな突っ走りトーマスに振り回されるのが旅の仲間たち。いろんな人種の男の子が揃っているところがいいなと思うけど、人間関係の描写があんまりないので、FF的にえさ足りてるのかなと心配になる。ニュート(Thomas Brodie-Sangster)がミンホ(Ki Hong Lee)のこと「俺が覚えている中では1番ミンホのこと知っている」って言ってたのが1番それっぽいかなと思った。(Tumblr見てみたらそれでもファンの作品はいろいろあって、キャラクターが動き出していればもういいのかな?)

The Ivy Trio

そして今回から登場する新メンバーで楽しみにしていたのは、他の迷路を抜けた子どもたちと合流する中で親しくなるエリスを演じた『マッド』のJacob Lofland。狐顔に痩せた体系は、「なんであいつがここに?」っていう目を引くキャラクターにぴったりだった。しかも、彼は女の子ばかりの迷路にひとりいた男の子でテレサ(Kaya Scodelario)とは逆パターン。メンバーの女の子たちに弟みたいにかわいがられていたのもかわいかった。

また、荒廃した街で出会うWCKDに選ばれなかった若者のブレンダを演じたRosa Salazarは、ベリーショートに形のきれいな大きな目が印象的だった。カヤ・スコデラリオといい、この映画に出てくる女の子は女の子らしくない子が多くていいね。ちなみにカヤ・スコデラリオは廃モールで拾った服を着ても、わざと汚れた加工?グランジ?ってくらいおしゃれに見えた。さすが。


いろいろ突っ込みどころが多いとか、人間描写が足りないとか、そういう問題も、これがコンピュータゲームの世界だと考えれば納得いくかな。

その世界の描写が、あの世界的大ヒットゲーム「The Last of US(ラストオブアス)」の世界観に似てるな~って思ったんです。実際、共通点は多いですよ。
メイズランナー2 - 毎日が自由研究

視聴者は、主人公になった気分でとにかく前(次のステージ)に進む。しかも仲間は多く生き残った方がポイントが高いってルールがあって。最終的には、ラスボスであるエヴァ・ペイジを殺すのが目標という感じだろうか。

あと、ひとつのステージをクリアしてもまた次のステージが出てくる世界と、主人公の中身はないけどかっこいいってところで『神さまの言うとおり』を思い出した。なので、もし日本でリメイクやるならトーマスは福士蒼汰くんで。ニュートが神木隆之介くんかな?










ティーン映画ファンとしてはオフショット見てる方がたのしい。

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Paper Towns / ペーパータウン ~人気小説の映画化はキャストが命


同名ベストセラーYA小説の映画化。原作者ジョン・グリーンの映画化2作品目。今回も、製作としてジョン・グリーンが深く関わっているようなので、『The Fault in Our Stars』と比べずにいられない。『The Fault in Our Stars』はキャストがすごくよくて成功したと思う。そして今回は、『The Fault in Our Stars』の脇役で輝いていたNat Wolffが主役に抜擢された。文化系な男の子のクエンティンに申し分ないと思った。また、主人公の憧れの幼なじみマーゴをCara Delevingneが演じた。これも風変わりで目立つ女の子にぴったりの配役だと思った。そして、旅の仲間たちで、三銃士となる主人公の親友を演じたAustin AbramsJustice Smithも初めて見たけど、それぞれよかった。よかったんだけど、この三銃士のバランスがどうもいまいちだったのが残念。

Nat Wolff : December 17, 1994
Justice Smith : August 9, 1995
Austin Abrams : September 2, 1996

年齢だけ比べると、そんなに変わらないのに、並んで見ると、どうしてもナット・ウルフだけ老けて見える。ナットは背が高くて体格がいいってのもあるけど、他の2人がかなり幼い見た目。しかもナットのがベテランなのでオーラがあるし。ただ……ナットが劣化したというのも否めない。太った?あご周りがなんか気になった。

でも、マーゴの冒険に付き合って、色々成し遂げた後に、清々しい様子で車の窓の外に身を乗り出して風を感じているマーゴを見つめるクエンティンの顔はよかった。そこだけすごくかわいいナットに撮れてたと思った。後は、だいたいぼやっとしたおっさんに見えた(ごめん)。ナット・ウルフの演技が悪い訳ではない。レイシー(Halston Sage)とバスタブに入るところの気まずい感じとかすごくよかったし、この年代の文化系男子では1番正解に近いとも思ってる。

オースティン・アブラムスは原作を読んだ感想では、ベンは3人の仲で1番お調子者で、ムードメーカーなキャラクターだったから、この小さい子で大丈夫かと思っていた。けど、どうしようもなさとか、それでも憎めない感じとか、すごくよく演じられていた。ナットの時みたいに、また青春モノで声がかかりそう。



うーん、だけど、やっぱり3人の相性をもっと重要視して欲しかったと思う。原作を読んで見たからより強くそう思ってしまうのかもしれない。映画には時間の制約があって、削られる部分がある。今作では、クエンティンがマーゴを探す部分が短くなっていた。本ではなかなかたどり着けなかった印象だけど、映画では随分簡単にたどり着いたように感じた。また、カーラ・デルヴィーニュの個性に助けられてマーゴという人物がどういう存在なのかは想像つきやすいけど、クエンティンやベン、ライダーについては少し足りなかったかなと思う。この3人がどういう友だち関係で、クエンティンがどういう物の見方をする子なのかってのがもっとわかってからのラストだとより満足感があったのかな。

まだ2作品で結論を出すのはどうかなと思うけど、ジョン・グリーンの作品は本で読んだ方がおもしろい!『ペーパータウン』をナット・ウルフとカーラ・デルヴィーニュの配役がわかったところで読み始めたけど、それがキャラクター描写の助けとなって、読み進めやすかった。この2人の配役は本当に完璧だと思う。


次は『アラスカを追いかけて』が映画化される。『Electrick Children』のレベッカ・トーマスが監督、女優で監督・脚本家としても活躍しているサラ・ポーリーが脚本を担当することが決まっているが、キャストはまだ。女性たちが男の子主人公の話をつくるのか……本の方がおもしろいと言いつつ楽しみ。


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Me and Earl and the Dying Girl / ぼくとアールと彼女のさよなら~2010年代の『天才マックスの世界』的青春学園映画


主人公のグレッグ(Thomas Mann)は学校の中で特に仲のいいグループをつくらずに、みんなと満遍なくつるんで適当に居場所をつくって過ごしていた。だけど、そんな彼も生き辛い場所があって、それがカフェテリア(グループごとに座る席が決まるから)。だから、彼はランチタイムは先生の研究室に潜り込む。そこにいるのは、彼が“同僚”と呼ぶアール(RJ Cyler)。2人は一緒に映画のリメイクを自主制作する仲。そして、最終学年の初め、母親の友人(Molly Shannon)の娘レイチェル(Olivia Cooke)が白血病ということがわかり、彼女と友だちになることを母親に強要される。初めは仕方なく行っていたけど、レイチェルに会いに行くことはグレッグの日課になる。

同名のベストセラーYA小説の映画化。原作者が脚本も担当している。原作を読んでいないので比べられないが、テロップが各章のような感じでもあり、坦々としながらもテンポがよかった。監督の作風なのか、アングルが凝っていたり、自主制作映画のDIYな感じとか、人形を使って表現したりとか、ウェス・アンダーソン監督のように男の子受けする印象だった。また、主人公の父親(Nick Offerman)やタトゥの入った教師とか、生徒たちもゴスとかエセ白人ラッパーとかキャラクターも大げさすぎないんだけど、おもしろがってる描写でメジャーというよりはインディなにおい。

がん患者の女の子が登場するYA小説の映画化ということで『The Fault in Our Stars』(『きっと、星のせいじゃない。』 2014)と比べられることもあるようだけど、全然違った。あっちはがん患者の女の子が主人公だけど、こっちはがん患者の女の子と関わる男の子が主人公。しかも、本人の語りで「この後ロマンチックな雰囲気にはならない」と言われるように、『The Fault in Our Stars』は初恋の物語だけど、『Me and Earl and the Dying Girl』は自分探しの物語といえる。

ここでもやっぱり、グループでタグ付けされた学校の様子がわかる。グレッグがタグ付けしているんだけど、まわりをよく観察しているようで、タグでしか見ていなくて、その中の一人ひとりに向き合ってはいなかったグレッグは傲慢だ。アールのことも同僚として考えているし、レイチェルのことも“Dying Girl” 死ぬかもしれない病気の女の子としてタグ付けして見てる。だから自分がタグ付けされないために、特定のグループに所属しないでいる。そうやって自分に属性をつけることを拒んでいるからなのか、自分の進路も決められないでいた。彼は映画制作もしてるし、映画の趣味もマニアックだから、他人が彼をタグ付けしたら映画オタクとか、アート系といったところか。

監督の作風からも、この主人公からも、『Rushmore』(『天才マックスの世界』 1998)に近い雰囲気を感じる。マックスは恋をきっかけに成長する機会を得たけど、恋する以前のグレッグは、無理やり設定されたものだけど、1人の人と深く関わる機会を得て学んでいく。話は単純なComing-of-age物語で坦々としているけど、細かいこだわりとかくすっと笑えるような仕掛とかで、後々『Rushmore』のようなカルト作品として記憶に残りそう。



オフィシャルInstagramもかわいい @meandearl

トーマス・マンは、青春映画でずっと良い働きをしているね。薄い顔で印象に残り辛いのが逆にいいのか?(いまだに細長くひょろっとしているし)RJ・サイラーはおしゃれでかわいい。マッチョじゃない黒人なのがいまどき。オリヴィア・クックはジョーイ・キングのお姉さん?ってくらい顔が似ていた。だから、坊主頭も似合う。

あと、Masam Holdenはすぐ気付いたけど、Matt Bennettは気付かなかった!



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The DUFF ~ #タグ付け 拒否


題名の“DUFF”は、“Designated Ugly Fat Friend”という意味で、イケてるグループの中で1番イケていない人のことを指して使われる言葉。ぶさいくだったり、太っていたりしなくてもそうなる。そして、DUFFは他のイケてる人たちに近づくための足がかりにされる役目となる。

主人公のビアンカ(Mae Whitman)は、お隣さんで幼なじみのウェスリー(Robbie Amell)に自分がDUFFであると指摘される。そこからいろいろあるんだけど、人が付けたタグにとらわれ過ぎるよりも、自分のことを理解して、自分らしくある方が幸せであるというメッセージの映画。笑いあり、涙あり、ロマンスあり、友情あり、って文句ないティーン映画で、これぞ2010年代のティーン映画といえる作品。ロッカーのある廊下でのやりとりも化学の授業もダンスパーティもモールも出てくるよ!

アイデンティティに悩みながら試行錯誤する女子高生をメイ・ホイットマンが普通っぽさを武器に、魅力的に演じていた。この子なら嫌いにならずに応援できる絶妙さ。そして、女王蜂役のBella Thorneは『プリティ・プリンセス』(2001)のマンディ・ムーアを思わせるような、嫌な女なんだけど、その女優さん自体まで嫌な女に見えない、健全な感じだった。さすがディズニー・チャンネル出身。新聞部の顧問がKen Jeongとか、離婚後立ち直りセミナーを始めてキャリアアップした母をAllison Janneyとか、脇役もちょうどいい感じ。

高校でのカースト制は今もあるとして、そこからさらに個人をタグ付けして人間関係を整理しているのだなと思った。仲良しグループで喧嘩するときに、「SNSでフレンドを解除したもんね」「あんたのフィードが流れてこなくなると思ったらせいせいする」みたいなやりとりだったのが面白かった。しかもそれを主要SNSほとんど全部でやり合ってた。

思春期は、人からどう見られるかってのがすごく重要で、しかも、本当はそんな風に思われていないのに、必要以上に考えすぎてしまう。だから、この映画みたいに、そうじゃなくていいんだよっていうのをおもしろく教えてくれる作品がいつの時代もあるといいと思う。

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Starred Up / 名もなき塀の中の王 ~愛着の物語 + 美しいジャック・オコンネル


原題『Starred Up』とは、少年刑務所から成人刑務所への早期転送を意味するイギリスで使われる言葉だそう。確かに、最初入ってくる時に係の人が「要注意人物」だと説明していた。そして、その題の示すように、この物語は刑務所の中を舞台にしている。19歳で成人刑務所に送られるほど非常に暴力的だとされるエリック(Jack O'Connell)が主人公。

この映画はジャック・オコンネルじゃなければだめだったんじゃないかってくらい、はまり役。『Skins』のクックを知っていれば、もしかして、彼の悪さが過ぎてこういう事態になることがあるかもしれないって思うくらい。クックを魂を燃やして生き急ぐタイプだと思っているんだけど(Skins Season 7: Rise ~大人になったクック)、エリックもそんなタイプ。生きるか死ぬか。理性よりも本能で生きている感じ。さらに、ジャック・オコンネル自身に『Skins』の頃のあどけなさはほとんど残ってないにも関わらず、他の登場人物たちがみんな年上でムキムキに鍛えられた囚人たちだから、19歳の新人エリックはすごく子どもに見える。刈り上げられた後頭部とか、タトゥの入った体とか、くるっとカールした睫毛とか、映像もフェチっぽくジャック・オコンネルの姿を捉える。自然光が少ない刑務所の中で、差し込んだ光できらきらと輝くジャックの瞳を撮影する意味は?って勘ぐりたくなるほど。ほこりが舞うトレーニング室で歯を食いしばって鍛える姿とか、シャワー室とか、タオルにくるまって眠る姿とか、チップスをばりばり食べているとことか、刑務所での日々の生活の中でまだ大人じゃないエリックの姿が際立つ(グループセラピーで仲良くなったメンバーから、掘られないように気をつけろと言われているくらい)。あと、受刑者のスウェットもめちゃ似合ってた。

これめちゃクック。



そして、この映画は愛着の物語を描いていると思った。エリックはこの刑務所で父親(Ben Mendelsohn)と再会する。エリックのこれまでは本人から語られることでしか知ることができないけど、それによると、5歳のときにはもう父親は刑務所に入れられていて、父親は刑務所内で殺人を行ったためもう外へ出ることができない。母親はすでにいない。そして、エリックは施設に入れられ、そこで性犯罪を受けた。たぶん、その犯罪者をぼこぼこにしてつかまったんだと思う。母親がどうしていなくなったかわからないけど、父親が悪口を言っていたので、あまり良い関係ではなかったのか。そういうことから想像すると、エリックには愛着の問題があるだろうし、虐待による傷もある。だから暴力的になるのはわからないでもない。

刑務所でグループセラピーを無償で行っているオリヴァー(Rupert Friend)は、そんな彼を更生させたいと熱心に取り組む。しかし、この刑務所の偉い人の考えはそれとは逆で暴力には暴力を。社会の悪も刑務所の中にずっといれば害を及ぼさないだろうというようなもの。この役を演じていた人が本当にむかつく顔で、よけい苛立った。

また、受刑者には受刑者たちのルールがあって、刑務所内を無法地帯にするんじゃなくて、力を持ったものが統率する社会にしたいと考えている。新人のしかも若いエリックはそんなこと知ったことじゃないから暴れて目立つ。父親はそれを何とか抑えようと苦心する。

父親の部屋には幼いエリックが描いた家族の絵が貼ってあるが、彼もずっと息子と離れていて父親にはなれていなかった。でも、息子が揉め事に巻き込まれたり、親しいグループを作ったり、何かするたび気が気じゃない。お菓子を差し入れしたり、グループセラピーを受けることをすすめたり、刑務所内での生き方を教えたりして世話を焼きたがる。それは一方通行でうまくいかないことが多いけど、彼の中にはっきりとした希望のような目標のようなものが芽生えていく。エリックには自分のようにはなってほしくない。刑期を無事終えて刑務所の外に戻ってほしい。だから、生きて欲しい。

エリックは、いろいろなことを諦めたり失望するのに慣れていて、誰かを心から信頼することができなかった。しかし、グループセラピーを通して怒りのコントロール法や、自分以外にも苦しんだり悩んだりしている人がいることを少しずつ知って世界が広がっていく。そして、ようやく新たな始まりへと舵をきったのかなと思ったところで、苛酷にも他人の手によってそれを拒まれてしまう。もう本当にこのまま終わったらこの映画許さない(ヨーロッパ映画ではよくある)と思ったけど、最後にああよかったと思わせてくれる場面をつくってくれていた。ありがとう。父親がエリックを生かそうとして、何がどうあっても「愛している」ということを伝えた。エリックは子どものように丸まって泣いた。きっと父親の思いを受け入れたんだと思う。何をしても父親は自分ことを愛してくれるとわかれば、それを心の軸にして生きることに挑戦できる。最後に希望があってよかった。また、親子の別れの場面は、手錠をかけられていたのもあるけど、抱き合うのではなく、顔をこすり付けるようにお互いを感じていて、それがまるで犬とか動物の愛情交換行為のようで、この親子は本能的にぶつかって愛し合うことができたのかなと思った。とても美しい場面だった。



なにこれ。かわいすぎ。

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