ヤングアダルト(YA)小説の映画化 『ハンガー・ゲーム』以降の戦うヒロイン比較(4) 難病とジョン・グリーン

これまで、『ハンガー・ゲーム』以降の戦うヒロインを比較してきた。
画像検索していると、こういうファンがつくった画像がたくさん見つかる。若者は、こういうヒロインを求めていたのだろう。



TIMEのこの記事によると、「ディストピア小説は現代の若者の不安について話しているにすぎない」という。

“Dystopian novels are merely all speaking to these anxieties of young people today,” said Donovan. “In all of these books, young adult protagonists must somehow learn to struggle through and survive in a world that has been exploited and defiled by previous generations and a world that is now ruled by dictatorial regimes that have eradicated all semblance of a democracy. What better metaphor could anyone create for the life of a teenager who knows he or she has no choice but take on a crushing amount of debt to go to college, to gain an education that will make it harder than ever to establish a career, all the while existing in a world of endless foreign wars and watched over by intrusive government bureaucracies and corporations that constantly spy on them on monitor all of their electronic communications?”
― Before The Hunger Games: How Young Adult Books First Became a Category

「これらのヤングアダルトの主人公は、前世代に搾取され汚染された世界、形だけの民主主義を根絶し独裁的な政府によって支配されている世界で、どうにかして乗り切ろうと奮闘し、生き延びることを学ばなくてはならない。キャリアを築くことがますます難しく、教育を受けるため、大学に行くために壊滅的な負債額を引き受けざるを得ないのを知っていて、その間ずっと外国では戦争が続いていて、政府や企業が絶えず彼らの電子通信を監視しているような、10代の人生のために、もう少し良い例えを創作できるか?」

似たようなことが、リンダ・グラットン 『ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図 〈2025〉』の中でも語られている。

「1995年以降に生まれたZ世代。2025年頃には、世界中の企業で中心的な役割を担いはじめる世代だ。インターネット利用率の高さが際立った特徴で、テレビのリアリティ番組と24時間放送の国際ニュース番組を見て育ち、2008年に始まった世界金融危機と深刻な景気後退を子ども時代に肌で感じ、地球温暖化の脅威をよく知っている。「リ・ジェネレーション(再生の世代)」とも呼ばれるように、この世代に求められるのは、再検討し(=rethink)、刷新し(=renew)、再生する(=regenerate)こと。気候変動や資源の枯渇など、直面している課題の多くで、これまでになく目に見える行動が必要とされている。その意味で、Z世代は現実主義者・実用主義者の世代だ」

ここらへんのことは、ヒロインだけじゃなくて、coming-of-age的なことで、また別の機会にちゃんとやりたいと思ってる。

だけど、大人はそうでなかった。似たようなものが何回も続くと飽きてきて、だんだんつまらなく感じる。興行成績においても、『ハリー・ポッター』『トワイライト』『ハンガー・ゲーム』以外はそんなに爆発的に伸びなかった。

Box Office Mojoの「Young-Adult Book Adaptations」に載ってる上位55作品を2000年代以降で年ごとに見たグラフがこれ。


大きなヒット作品の後に増える傾向がわかる。
だから、『ハンガー・ゲーム』シリーズが終わった後、大きなヒット作があればそれと似たような作品が増えるということになる。
じゃあ、そのヒット作品とは?

今まで見てきて、それは『ダイバージェント』ではなく、『きっと、星のせいじゃない。』だと思う。

  1. The Hunger Games: Catching Fire
  2. The Hunger Games
  3. Harry Potter and the Deathly Hallows Part 2
  4. The Hunger Games: Mockingjay - Part 1
  5. Harry Potter and the Sorcerer's Stone
  6. Harry Potter and the Half-Blood Prince
  7. The Twilight Saga: Eclipse
  8. The Twilight Saga: New Moon
  9. Harry Potter and the Deathly Hallows Part 1
  10. The Twilight Saga: Breaking Dawn Part 2
  11. Harry Potter and the Order of the Phoenix
  12. Harry Potter and the Goblet of Fire
  13. The Hunger Games: Mockingjay - Part 2
  14. The Twilight Saga: Breaking Dawn Part 1
  15. Harry Potter and the Chamber of Secrets
  16. Harry Potter and the Prisoner of Azkaban
  17. Twilight
  18. Divergent
  19. The Divergent Series: Insurgent
  20. The Fault in our Stars

これが、さっきの表の上位20作品なんだけど、これはアメリカ国内の興行収入のランキングで、『きっと、星のせいじゃない。』のがアメリカ以外の国での結果がいい。

国内
Divergent : $150,947,895
The Fault in our Stars : $124,872,350

国外
Divergent : $137,937,923
The Fault in our Stars : $182,294,484

全世界
Divergent : $288,885,818
The Fault in our Stars : $307,166,834

しかも制作費がこんなに違うから、結果は『きっと、星のせいじゃない。』のがもっといいことになる。
Divergent : $85 million
The Fault in our Stars : $12 million

これは、2000年代になってからの、ドラマジャンルのヤングアダルト小説の映画化の中で見ても、高い成績になる。
(2001年の『プリティ・プリンセス』は国内 $108,248,956、全世界 $165,335,153)

また、原作の売上についても、NY TimesのBest Sellers Listで、2012年12月16日~2015年8月23日の週まで見れるので、私調べで順位を出してみたところこなった。

  1. THE FAULT IN OUR STARS / さよならを待つふたりのために
  2. LOOKING FOR ALASKA / アラスカを追いかけて
  3. THE BOOK THIEF / 本泥棒
  4. PAPER TOWNS / ペーパータウン
  5. IF I STAY / ミアの選択
  6. MISS PEREGRINE'S HOME FOR PECULIAR CHILDREN / ハヤブサが守る家
  7. THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER / ウォールフラワー
  8. DIVERGENT / ダイバージェント 異端者
  9. INSURGENT / ダイバージェント (2) 叛乱者
  10. WHERE SHE WENT

いや~、ジョン・グリーンすごいね。
ここに挙がった中で、『If I Stay』のシリーズ作『Where She Went』以外は、映画化された・される作品(『ハヤブサが守る家』はティム・バートン監督で今年公開予定。『アラスカを追いかけて』はまだ製作中)。映画化されると原作が売れるという相乗効果が結果に出ている。


『きっと、星のせいじゃない。』は、ありがちな難病ものジャンルなんだけどそれだけじゃないところが今ぽくて、成功したんじゃないかな?それまでだと、『ウォーク・トゥ・リメンバー』(2002年)や『私の中のあなた』(2009年)があって、同じ年に『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』(2014年)があるけど、どれも涙なしでは見られないというのが売りといった作品。だけど、この次の年、2015年になると、『Me and Earl and the Dying Girl』みたいにちょっとひねった作品が出てる。

そう考えると、これからは、文明崩壊後の地球や魔法使いやヴァンパイアの世界じゃない、現実社会を舞台にした青春物語で、ちょっとひねりのあるものが主流になっていくのかな?

ただ、こういう作品は、日本で劇場公開されにくい。そうなると原作の翻訳もされにくい。負の方の相乗効果。
2015年のヤングアダルト小説の映画化作品には、『The DUFF』、『Me and Earl and the Dying Girl』、『Paper Towns』がある。どれも新しい世代の作品で、『ダイバージェント』シリーズや『フィフス・ウェイブ』よりも、バラエティがあって楽しいと思う(『Paper Towns』はちょっと下がるけど)。


NY Timesの11位以下も見てみる。

11. * ELEANOR AND PARK / エレナーとパーク
12. AN ABUNDANCE OF KATHERINES 
13. * THIRTEEN REASONS WHY / 13の理由
14. ME AND EARL AND THE DYING GIRL
15. HOLLOW CITY
16. * WE WERE LIARS
17. * RED QUEEN
18. CONFESSIONS, THE PRIVATE SCHOOL MURDERS
19. THE ABSOLUTELY TRUE DIARY OF A PART-TIME INDIAN / はみだしインディアンのホントにホントの物語
20. * STEELHEART

* はimdbのページが見られるもの。

私は、ヤングアダルト小説の映画化、日本でいうところの漫画の映画化を全部悪いと思わない。アメリカでもコミック(漫画)原作の映画化は増えてるけど、この場合はスーパーヒーローとかアクションばかりで(『X-MEN』は学校が出てくるから好き)私の好みに合わないから、青春映画は歓迎側だ。青春映画からは若手俳優(若手制作者も)をたくさんチェックできる。ただ、数ばっかり増えて、似たような作品に同じような人ばかり出てるのは困る(『ダイバージェント』)。

これからは、新作映画情報とともに、原作情報を追わなければいけないのかもね。
楽しみなのは、『Stargirl / スターガール』!

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