牯嶺街少年殺人事件 / A Brighter Summer Day ~変えたい男の子と変えられたくない女の子


1961年に台湾で実際に起きた事件を元にした作品。236分(4時間弱)は長かった。長すぎて、これはタイトルにあるように少年の殺人事件の話だよね?事件起こらないけど違うかな?って思えたくらい。ギャングの抗争とか、お父さんが拘束されるとか、少年の話に関係なくはないけど、長かった。主人公の少年と、その友人、転校生、片思いの少女、不良の少女という同級生たちと、姉兄との関係が特によかった。

主人公の小四(張震(チャン・チェン))は、5人兄弟の4番目。思ったような成績が出せずに希望の昼間部に合格できず、夜間部の中学生となる。小四は何を考えているのかわからない、ぼうっとした少年。積極的に参加するわけでも、消極的になって逃げるわけでもない、不思議な存在感。そんな彼が1番夢中になったのが、片思いの少女、小明(楊静恰(リサ・ヤン))。小明は、不良グループ・小公園のボスであるハニー(林鴻銘(リン・ホンミン))の彼女。だけどハニーが不在のため、いろんな男が彼女を狙っている。小明は、聡明で美しく、同年代の少女たちと群れないところからも一目置かれる存在だが、病気がちな母親と貧しい暮らしをしていて、色恋よりも生きることをまず考えなくてはいけない状況になることもある不安定なところがあった。


小四は、小明と不良の少女、小翠の2人から同じ理由で拒否られる。小翠の場合は不良で誰とでも遊んでいる女の子というイメージをもっていて、それを自分と付き合うことでまともにしようとして拒否られる。小明に対しては、ハニーを忘れられない一途な女の子というイメージをもっていて、だけど実はいろんな男をたぶらかしていい気になっているというのを責め立て、自分が変えてみせると言うが拒否られる。

「君のこと全部知ってるよ でも気にしない 僕だけが知ってて君を助けられる 君には僕だけだ」
「あなたなら私を変えられると? あなたも同じね 意外だわ ほかの人と同じ 親切にするのは私の愛情がほしいから そして安心したい 自分勝手ね 私を変えたい? 私はこの世界と同じよ変わるはずがない あなたは何なの?」
一つの映画が世界そのものであるということ 『クーリンチェ少年殺人事件』試論 Coyote’s foot print

小四は、事件の前にキリスト教の信者である姉(5人兄弟の3番目)から、説教を聞かされる。「自分のことばかり考えていないで、見返りを求めずに他人のために何かをする」。母が大事にしていた時計を質に出したお金で遊んだ小四の代わりに兄が賭けビリヤードでお金を工面し、それが親に見つかって厳しく叱られた後だった。つい最近、アドラー心理学の『嫌われる勇気』を読んだところだったので、このエピソードが強く心に残った。それまで地味な存在だった姉は、静かに家族を見ていた。「勧誘は結構」って姉をつっぱねていたのに、この言葉は小四に響いたみたい。


だけど、小四が小明にぶつけたのは、自己満足の域を脱していなかった。

信じるという行為もまた、課題の分離なのです。相手のことを信じること。これはあなたの課題です。しかし、あなたの期待や信頼に対して相手がどう動くかは、他者の課題なのです。そこの線引きをしないままに自分の希望を押しつけると、たちまちストーカー的な「介入」になってしまいます。
岸見一郎、古賀史健 『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』 ダイヤモンド社 2013年

恋愛のもつれで相手を殺害してしまうという事件について、今まで深く考えたことがなかった気がするんだけど、この映画を見て、突然に命が奪われてしまった小明のことを考えずにはいられなくなった。長く見てきたのはそのためなのか。しかも、小明の母親は事件のことを聞いて自殺したことが警察での話でわかる。小明は、確かに自分が異性から人気があることを知っていて、それを利用するところがあったけど、それは彼女なりの生きる術だったのかもしれない。持つものが少ない中で、利用できるものは利用するという強さを感じた。

それに比べると小四は幼い。裕福ではないけれど、家があって、家族がいて、ご飯が出てきて、学校へ行ける。近所の食料品店の小言がうるさい親父をなぐってやろうとしていたのに、その人が咳き込んで倒れてしまったら、持ってた石を落として助けてやるという優しい面があるのに、どうして本来の良さそのままで付き合っていけなかったのか。


争いに巻き込まれた小四を助けたことで仲良くなった転校生の小馬(譚至剛(タン・チーガン))との関係も複雑だった。小馬はお金持ちのお坊ちゃんで、堂々と異性交際してるとチクられる時代なのに女の子と遊ぶことにも慣れている。小明の母親が住みこみのお手伝いさんとして小馬の家で働き始めたことから、小馬が小明とも遊んでやろうと言って、小四と険悪になる。小四はそのとき昼間部に入学するための受験勉強に集中していて小明と距離を置いていた。小馬の言い分は、「女なんかで壊れる程度の男の友情じゃないだろう」というものだった。小四の事件を聞いた小馬は、「唯一の友だちだったのに」と泣き崩れた。小馬→小四→小明って矢印がすれ違ってうまくいかなかったのが悲しい。

小馬も小四の言い分を聞いていないですれ違ったし、小四も小明の言い分を聞き入れなかった。14歳は、自分のことで精一杯な年頃なのはわかるけど、どこかで事情が違っていたら結果も違っていたかもしれないと思うと悲しい。


すらっと背の高い小四や小馬と違って、まだ子どもの見た目な王茂(小猫王(リトル・プレスリー))(王啓讃(ワン・チーザン))や、飛機(柯宇綸(クー・ユールン))という幼なじみたちは、見た目と同じくまだ子どもの世界を生きていて、微笑ましかった。昔はそんなに変わらなかったのに、前の1年で小四だけ背が伸びて、大人びた見た目になったのかなとか考えていた。

小四を演じた張震が、元EXOのタオ(黄子韜)に見えてしかたなくて、ずっと脳内ではタオが演じていた。実際のタオより若いけど、ぼおっとしたところとか、実は芯が強いとことか、目力とかに面影を感じた。話の中で、上海から台湾に渡ってきた中国人であることや、青島(タオの出身地)から来たって言ってる人もいて、近い人種なのかな?ハニーを演じた林鴻銘は、重岡大毅(ジャニーズWEST)に見えてしかたなかった。海軍ファッションで決めててかっこよかった。小馬を演じた譚至剛は、ハーフっぽい見た目で最初からどこか違うなと感じさせるオーラがあって、役にあっていた。小明を演じた楊静恰の透明感はすごかった。目が小さいけどパーツがきれいで整った顔立ち。制服からのぞく細すぎない真っ白な脚が武器。




みんなこの蓋付きグラスでお茶飲んでて気になった。

A Brighter Summer Day (The Criterion Collection) [Blu-ray]
Criterion Collection (Direct)
売り上げランキング: 6,301

10代の少年たちで構成されたK-POPボーイズグループ「NCT DREAM」


NCT Dreamのことを書きたいと思ってたんだけど、どうまとめていいのかわからなくて、放置している間に活動期間も終わってしまった。

そこで、まずどうして自分がこんなにNCT Dreamにはまったのかを考えてみることにした。NCT Dreamの特徴は、その若さ。デビュー時(2016年8月)に平均年齢15.6歳で、14~17歳の7人組。それまでの記録では、グループ名に“Teen”を冠するTeen Topの平均年齢16.3歳だったのかな。いろんなユニットで活動するNCTというグループの中で、NCT Dreamは10代であるということがコンセプトになっている。映画に限らず、10代に琴線が触れる身としては、これ以上ないコンセプトである。だから、デビュー曲のときも、かわいいなって思って注目したんだけど、自分の中で今以上の盛り上がりではなかったと思う。


じゃあ、なんで今回のカムバック(新曲を出して活動すること)ではこんなに熱狂的になって、本当に久しぶりにフィジカルのCDまで(ポスター欲しさに)買ったのか?と考えると、今回のファースト・シングル・アルバム『The First』の曲とコンセプトがよかったからなんだろうなって思った。

まず、曲について。これがネックでなかなか書き出せなかった部分でもある。音楽のレビューができないから。だから、もう開き直って主観だけで言うと、K-Popアイドルの曲って歌うま自慢タイムが設けられていることがほとんどって思っているんだけど、NCT Dreamの曲にはそれがないのが特徴だと思う。歌がうまいのはすごいし、いいことだと思うけど、好みとして、自分にはそれが過剰に感じることが多い。そんなに叫ばなくても……って。NCT Dreamの曲は、それがなくてサビもみんなで歌う。カップリングの「Dunk Shot」はさらにそれが強く出てて、今までのK-Popアイドルの曲と違って昭和のアイドルっぽい曲だと思った。どちらかというとこっちの曲が好きですごい聴いた。その後、実際に90年代の曲をリメイクした曲だと知って、元の曲を聴いてみると、アレンジ具合が90年代のファンクとポップなダンス曲という「最後の初恋(My First and Last)」とキャッチーでビデオゲームっぽいポップ曲という「Chewing Gum」の間に入っている順番が納得って感じでよい。


タイトル曲の「最後の初恋(My First and Last)」は、ダンス混みのパフォーマンスとして好き。SMのダンス振り付けで有名なトニー・テスタ印と言われる立体的なフォーメーションが目を引く。


あと、メインボーカルのヘチャンの特徴ある声が好き。NCTのティーザーでその後NCT Uのデビュー曲となる「The 7th Sense」が使われているんだけど、歌ってる人が違うことに最近気づいた。というか、この動画を最近観た。それくらい、最近はまっているという事実。それに気づいたのは、ヘチャンの声。高めでクセがあって印象に残りやすい声。デビュー曲「Chewing Gum」のときは、そこまでパートがなかったんだけど、今回は十分に堪能できる。


そして、パートは少ないけどやっぱりチョンロの声は特に好き。チョンロは中国版『China's Got Talent』で歌うま少年として注目されて、歌手活動をしていた経歴の持ち主。YouTubeで「chenle」って検索してプレイリスト聴いて癒やされてる。ボーイソプラノ好きとしてはたまらない声の持ち主。↓はマイケル・ジャクソンの「Ben」のカバー。


そんなチョンロの声の「最後の初恋(My First and Last)」でのたまらないポイントは、中国語版の1:33あたりからのところ!中国語版の方が裏声のところが際立っていてたまらん!


でもまだまだ物足りないので、もっとチョンロを歌わせて。もう声変わりしてるから遅い早いはないかもしれないけど、もっと聴きたい。それに、ヘチャンのジャスティン・ビーバー「Love Yourself」のカバーも好きだから、こういう系の曲をまとめて出してくれたらいいのに。


曲の次は、コンセプト。デビュー曲は、MVで寄宿舎が舞台になっていて、おそろいの制服を着たコンセプトもあるけど、短パンでカラフルPOPな少年らしさがある衣装だった。今回の活動は、おそろいのジャケットを着ていることが多い。



誰が言っていたか忘れてしまったけど、NCTの他のユニットは奇抜で最先端な衣装が多いけど、今回のNCT Dreamの衣装は「王道コンセプト」的であるのがいい、というのがなるほどと思った。他のボーイズグループで考えると、EXOの「ウルロン(Growl)」やSeventeenの「マンセ(Mansae)」も制服コンセプト。さらに全員同じじゃなくて、少しずつ個性に合わせて変えているところもポイントだと思った。NCT Dreamもリボンや飾りで差をつけている。


「王道コンセプト」のわかりやすさは安心できるし、ウケにつながっていると想像できる。また、NCT Dreamの衣装がずるいのは、肩がはみ出すくらいの大きめのジャケットを着て子どもが背伸びした感じを出しているところ。それだけじゃ満足しなかったのか、また短パン復活させていたし。


そして、これを言うと元からのファンに悪いと思うんだけど、やっぱり6人になってよかったと思った。NCT Dreamはデビュー曲では7人だったんだけど、今回は6人での活動。メンバーの1人であるジェミンがヘルニア治療のため休養している。7人じゃなくて、6人の何がいいのかっていうのは、偶数ってところ。奇数だと、1人はみ出す。日本のアイドルと違って、K-Popのアイドルグループにはあまりセンターという意識がないと思う(最近はプロデュース101という番組でセンターが意識されるようになったのかもしれないけど)。7人のときは、最年少のチソンがセンターポジションなのかな?


だけど、正直チソンにそこまでセンターの吸引力というかオーラみたいなのがそれほど強く感じられなくて、6人になってからの2・2・2でペアになれて、みんな仲良く和気あいあいって感じの方がNCT Dreamに合ってると思う。それは何もこの6人じゃなきゃいけないっていうんじゃなくて、最年長のマークが抜けて、ジェミンをいれた6人でもいいと思う。(ただマークいないとラップ辛いね……その場合ラップパートなくてもいいと思うけど。ラップパートないK-Popも少ないから差別化できていいと思う)


みんな同じくらいの身長で揃っているってところも、わちゃわちゃかわいいポイントだと思う。ちっちゃく見えて170cm代。

ということで、NCT Dreamを好きになった理由をまとめてきたんだけど、広報大使を務める2017 FIFA U-20ワールドカップのテーマソングに歌い上げパートがあった!


サビの「Oh Oh Oh」ってところはみんなで歌う系なので、歌い上げパートだけ抜いたバージョンつくってくれないかな……。あと式典だから?衣装が地味で残念。

参考:
K-POP界にショタの波「NCT Dream」 - すてきな まわり道
ショタ is BACK!! NCT dream「最後の初恋」 - すてきな まわり道
【NCT DREAM】アイドルとアーティストその③ チョンロ師匠とロンジュン諜報員に気をつけろ!(褒めてる) - お留守番の女王

おまけ:
デビュー前チョンロの曲で1番好きなやつ



1stシングル - The First (韓国盤)
NCT Dream
SM Entertainment (2017-02-19)
売り上げランキング: 11,197

The Edge of Seventeen / スウィート17モンスター ~とにかくかわいいヘイリー・スタインフェルド


「私の人生終わった。死ぬ」って、女子高生のネイディーン(Hailee Steinfeld)が冴えない中年のブルーナー先生(Woody Harrelson)のところにやって来るところから映画が始まる。その理由は、兄(Blake Jenner)は何でもできちゃう人で、母はそんな兄の方が好きだし、唯一の味方だった父は突然亡くなっちゃって、たった1人の親友(Haley Lu Richardson)は兄と付き合い始めるし、片思いの子(Alexander Calvert)は自分のこと全然眼中にないし、って感じ。「私が世界で1番不幸!」って思って、殻にこもって傲慢になって甘えていたところから、失敗して過ちに気づき、社会参加を始める話。

とにかくヘイリー・スタインフェルドがかわいい!『Begin Again / はじまりのうた』の反抗期の娘と『Pitch Perfect 2 / ピッチ・パーフェクト2』のフレッシュで元気良い学生が混ざったような、最初から終わりまでずっとかわいいヘイリーが堪能できる作品。まず、顔がかわいい。ヘイリーの丸顔は、前から見ても、横から見ても、上から見てもきれいな丸で、とってもかわいい。茶色い量の多い髪が長くてくるっとしていて、いい感じに決まっているのもいい。あと、痩せすぎてないヘイリーのミニスカートにデニール数の小さいストッキングにスニーカーっていうファッションもかわいい。そして、めちゃくちゃ喋る。早口。だけど、自然体でこういう子いるって思わせるのは、演技力バツグンなヘイリー・スタインフェルドだからこそこなせたんだと思う。

ヘイリー・スタインフェルドというと、いつもなにかと比べちゃうのが同年代の子役出身女優のクロエ・グレース・モレッツとエル・ファニング。注目された時期が同じくらいだったってだけなんだけど、見た目もタイプも違う3人のキャリアを追うのがおもしろい。『トゥルー・グリット』の頃は、まさかヘイリー・スタインフェルドが歌手デビューしてこの3人の中で1番POP路線にいくとは思いもしなかった。この中でそれをやるならクロエ・グレース・モレッツだろうと思っていた。歌うことを楽しそうにやっているヘイリー・スタインフェルドはとっても輝いていて好感もてるし、歌もいい。


興味深かったのが、アメリカの学校が舞台の映画でおなじみのカフェテリアでの昼食場面、ネイディーンは一緒に座る人がいないからカフェテリアにいられない。そこで、ブルーナー先生の教室に質問があるってことで居座ってごはんを食べてた。学校では広く浅くの関係を築くことにしていた『Me and Earl and the Dying Girl / ぼくとアールと彼女のさよなら』のグレッグも、先生の部屋で昼食をとっていたけど、同年代の子との付き合いに事情がある子は大人のところにいくものなのか。教室が生徒のものじゃなくて先生のものなとこなのが日本と違って子どもには不利だなと思った。先生がちゃんと先生しているのもおもしろかった。学校での先生と学校じゃないときの先生の感じもリアルだと思った。ウディ・ハレルソンはカットニスの教育係でもあったから、ネイディーンみたいな子の扱いは得意でしょうという気持ちで見ていた。


兄役のブレイク・ジェンナーは、『Everybody Wants Some!! / エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』の役の高校時代って感じで、しかも女の子の趣味まで一緒で笑った。天然犬ころのヘイリー・ル・リチャードソンがヘイリー・スタインフェルドと女子高生役ってことで、すごいパワー炸裂するんじゃないかって想像していたけれど、不思議ちゃんだけど中身は大人な女の子役だったから、女子高生パワーは見られなかった。ネイディーン1人でもすごいうるさいのに、もうひとり同じくらいのパワーの子がいたら疲れちゃうかもね。そういうの見たい気もするけど。あと、アジア系の男子生徒アーウィン役のHayden Szetoは見た目からして実年齢はもっと上なんだろうなって思っていたら、まさかの30代!アジア系が幼く見えるからってさすがに年上過ぎない?


あと、私の中で『Edge of Seventeen』って言ったら1998年の方なんで、“The”がついてる違いはあるけどややこしい。

The Edge of Seventeen
The Edge of Seventeen
posted with amazlet at 17.02.28
Universal Studios Home Entertainment

Ost: the Edge of Seventeen
Ost: the Edge of Seventeen
posted with amazlet at 17.02.28
Original Soundtrack
Masterworks (2017-01-13)
売り上げランキング: 121,230
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...