Sierra Burgess Is a Loser / シエラ・バージェスはルーザー ~思春期における自尊感情の揺れ

by - 1/21/2019


イケてない外見だけど聡明なシエラ(Shannon Purser)は、突然送られてきたメールの相手がジェイミー(Noah Centineo)というイケメンで話も合うから喜んでいたら、ジェイミーは自分をチアリーダーで見た目がいいけど知的な会話ができないヴェロニカ(Kristine Froseth)と勘違いしていることがわかる。ショックなんだけど本当のことは言えずに、ヴェロニカと交換条件で協力関係となって嘘を重ねていくことになる。

シエラはヴェロニカに容姿についてからかわれても、知性で返す大人な対応ができる子。自己啓発系の母親から「自尊感情を高く」と教育されていて、今の自分自身に満足しているように見える。だけど進路相談で志望大学への推薦には優秀な成績だけでは足りないと言われてしまい、自分に特別な何かがあるのかと不安になって自尊感情が揺れだす。実は作家の父親や美人の母親に対して負担を感じていたし、今の自分に不満もあった。だから普段のリミッターが外れて無茶をしてしまう。それに拍車をかけたのがヴェロニカ。

ヴェロニカは自分がモテることを知っているし、イケメンのジェイミーでも連れがダサいから相手にしないとダメだししていて、高校生より大学生と付き合わなきゃっていうような女の子。確かに正確悪いんだけど、夫に捨てられてステージママ化が激しくなった母親(Chrissy Metz)から容姿に対して厳しく言われる環境にいたことがわかる。ヴェロニカはきついけど思ったことを素直に言うから、自意識が面倒くさいことになっているシエラよりピュアでかわいく見えてしまって、私にとっては最初は敵対していたシエラとヴェロニカが、一緒に過ごすうちにお互いを理解して親しくなっていく物語のが楽しめた。ヴェロニカ役のクリスティン・フローセスが『The Duff』のベラ・ソーン級にミーン・ガールが上手くてよかった。



外見より中身が大事ということを描いた『シラノ・ド・ベルジュラック』を現代版にして『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のバーバラ役でブレイクしたシャノン・パーサーの魅力で、ぽっちゃり体型の女の子が主人公のロマンスをやりたかったんだろう。好青年のノア・センティネオなら、外見だけじゃなく中身を見て人を好きになるよっていうのに、自分自身ジョックだけどジョックが嫌いで耳の不自由な弟がいるという設定を含めなくても十分信じられる。ただ、シエラの親友ダン(RJ Cyler)の立ち居地はダッキー?と見せかけて、シエラとジェイミーとヴェロニカの三角関係の方が盛り上がるから、ただの脇役でもったいなかった。ステレオタイプを脱しようということと古典への目配せがちぐはぐになっていた感じ。主人公を女子高生にすることで少女漫画感が強まったんだけど、男子高生じゃだめだったのだろうか。


本来ひどい母親も『This Is Us』のクリッシー・メッツだからかわいく見えたし、アイシャドーの色や、ぽちゃぽちゃの体型にチュチュの双子とか、ヴェロニカの部屋とかガーリー度高い。RJ・サイラーの柄on柄スタイルをはじめ、ダンス・パーティのドレスもシャノン・パーサーによく似合う色だったし、クリスティン・フローセスが履いていたチアリーダーのスカートの丈とか、最近観た中では1番おしゃれな映画だった。


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