Tiny Furniture ~レナ・ダナムって人

by - 9/04/2012


『Girls』を見て、Lena Dunhamという人を知ったので、彼女のデビュー作『Tiny Furniture』を観た。
観る順番が逆だったな、と思った。
『Girls』がうまれるきっかけとなった、ジャド・アパトーからのメールも、この映画を観てだったし。
そして、何人かのキャストも『Girls』に参加している。

だから、『Girls』の感想をまとめる前にこっちの感想をまとめるのも変な感じ。
しかもだいぶ前の記憶を掘り起こして。

今回もいつものように、何の予備知識がない状態で観た。
だから、登場する家族を本当の家族が演じているって後から知ってびっくりした。
芸術一家だと、本当の家族をさらけ出すことも抵抗がないのかな?
協力的な家族はうれしいけど、普通あそこまでできるかな?って思った。
一応、役があって演じているんだけど、 あまりにもさらけ出していると思った。

それはレナ・ダナムという人自体がそうなんだ。
『Girls』でも脱ぎまくっている彼女。
この映画でも、そんなところで?っていう悲しいセックス・シーンがあった。

そして、役にも彼女自身がすごく投影されてると思う。
大学卒業したけど、仕事決まってなくて、とりあえず家に戻って来て、バイトでも始めてみるけど、まだふらふらしていてっていう。
でも、これがすごく共感できる。
今の日本(他の国も同じかな?)だと、大学の3年くらいから就活に励んで、大学卒業したら、即就職して、慣れない仕事に我慢しながら、でもやっぱり合ってなかったとかって退職・転職してっていうのが、この年代の若者だと思う。
もちろん、その中でも遊んでいるし、全部が苦しくて暗いって訳じゃないけど、何かに向かってとりあえず動いてないと責められる気がする。
若い時こそ、悩んでいろいろ試して失敗もして、それで人として成長していくんだと思うけど、こんな感じだったら、何もわからないまま社会に放り出されて、それで傷ついて、逃げ出してきた敗者みたいな気持ちになっちゃう。

レナ・ダナムが提供する若さは、その“迷い”にスポットがあたっている。
普通のドラマだったら、“迷い”を抱えた主人公が苦労して成長してカタルシスっていう感じになるんだろうけど、彼女の場合はその“迷い”の状態をリアルに描写することが中心。
あと、共感とくすっと笑える部分を加えて。
単に迷ってるだけの主人公だったら、それはEmoで、私は嫌いだ。
Emoは思春期の子がやってるからかわいいんで、大学生まで引きずってたらそれは痛い。
レナ・ダナムは、女の子に焦点をあてているので、男たちはどっちかって言うと笑いのネタにされていることが多い。
「ああ、この男キャラクターに共感できる」ってのがあるのか、私には想像でしかできないけど、『Girls』の反応を見ると、ちょっとやりすぎって言われていることが多かったかな。
でも、女の子目線からみたら、ああいう男はいるよねって共感できると思う。

『Tiny Furniture』で、主人公と関係する主な男の登場人物は2人。
YouTubeで有名になってコメディアンと、バイト先のコック。
母親が芸術家で、自分もそっちの道を目指していたら、コアなファンを持っているインディ・アーティストって魅力的だと思う。
たとえその人が、ちょっとでも名前が認められているっていうステータスに浸っていて、実生活では何の役にもたたないヒモ男でも。
自分だけがこの人の良さを認めているの。そして、彼は私を必要としているのって。
そしてもう一人は、ルックスがイケてるから自分なんて眼中にないだろうなと思ってるけど、普通に会話できるし、一緒にいてリラックスできるわ。っていう人。でも彼女がいる。

でもやっぱりレナ・ダナムは女の子のキャラクターがいい。
『Girls』にも出ている変なイギリス訛のJemima Kirke
高校時代の友だちだけど、ずけずけと物を言うところが気が合わないと思っていた子の役。
この2人のケミストリーがすごく好き。
親友だけど姉妹のような関係。
とてもリラックスしていて、穏やかな関係。
たとえ厳しいことを言っても、仲直りできる信頼関係。

妹とのシーンもリアルでいいなと思ったけど、女の子の友だちの関係がやっぱり好きだな。

ということで、これが気に入ったら、『Girls』を観るともっと良いんだと思う。
今度はひとりの主人公じゃなくて、女の子4人を一気に描くから。

映画とTVの違いのひとつで大きいのは製作期間だと思う。
最近は、TVもスケールが大きくなってるから一概に言えないだろうけど、つくってから皆が見るまでの時間が短いほど、今の雰囲気を出しやすい。
だから、若者文化の描写はドラマの方が早いと思う。
BGMの音楽だったり。

それに加え、レナ・ダナムの年齢。
自分の世代の話を同世代の作者(とキャスト)でつくって同世代の視聴者に観られるっていうことがすごいと思う。
今だけしかできないことに、タイミングがぴったりあった。
ジャド・アパトーが『Freaks and Geeks』をつくったときは、自分の学生時代を思い出してつくっていた。それが思い出に誠実だったから、同世代の大人の視聴者に響き、それがキャストの年代へも広がっていったのかな。だって、学生時代って変わらない部分も多いから。
で、そのリアルさが、思い出じゃなくて、現在進行形のドラマってところが『Girls』のすごさで良さだと思う。
ああ、話がだんだんずれてきた。


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