Beyond Clueless ~1995年–2004年のティーン映画をまとめたドキュメンタリー

Beyond Clueless

この映画を知ったときは、これは自分のための映画だと思った。もうずっとティーン映画が好きで観ていて、それ以外はほとんどしてないくらい。だから、すごく楽しめた。自分が頭の中だけで妄想していたマッシュアップ映像が実際に目の前にある!学校の廊下、プール、ダンスフロアなどティーン映画でよく観る場面を集めてひとつの映画にしている。ドキュメンタリーっていうのか分類がよくわからないけど、これひとつでティーン映画1本観た気分になる作り。ティーン映画って分類的には軽い、コメディやラブロマンスが多いけど、Fairuza Balkのナレーションも相まってこの作品の雰囲気は少し重く暗い。10代が誰もにとって華やかなものではない、けれど完全にふたをしてしまいたいわけではない、ほろ苦さや甘酸っぱさが感じられる作品だった。

監督のCharlie Lyne(1991年生まれ)はKickstarterでこのプロジェクトを行った。彼は、ティーン映画をまとめるときに、『クルーレス』が公開された1995年から、『ミーン・ガールズ』が公開された2004年までという区切りをつけた。そして、なぜそう設定したのかをブログで解説しているものがあるので紹介する。

Ten reasons why the teen movies of 1995–2004 were like, totally the best, ever.
http://www.ultraculture.co.uk/13364-ten-reasons-why-1995-2004-was-the-best-decade-for-teen-movies-like-ever.htm

Clueless Mean Girls

とにかくたくさんあった
後にも先にも、他のどの時代よりも『クルーレス』と『ミーン・ガールズ』の間の10年で最も多くのティーン映画が制作され、(今日のティーン映画とは異なり)それらの少ない一握りだけがHMVの安売り棚にすぐに追いやられた。残りは重要作となり、多くの場合、歴史的価値のある成功レベル。それは現在では信じ難いが、1997年には20世紀フォックスが『スクリーム2』と接戦になるのを避けて『タイタニック』の公開日を変えたくらい、ティーン映画のジャンルは影響力があった。

But I'm a Cheerleader

それらは差別しなかった
ジョン・ヒューズの映画がゲイを公表している登場人物を扱った記憶がある?それか黒人の俳優が主役をやっているのは?僕はどっちもない。一方、90年代と00年代のティーン映画では、黒人の話(『O』)、白人の話(『Fカップの憂うつ』)、ゲイの話(『Go!Go!チアーズ』)、ストレートの話(『アメリカン・パイ』)、トランスジェンダーの話(『ボーイズ・ドント・クライ』)、労働者階級の話(『クレイジー/ビューティフル』)、上流階級の話(『クルーエル・インテンションズ』)、笑える話(『クルーレス』)、泣ける話(『ヴァージン・スーサイズ』)、笑えて泣ける話(『恋のから騒ぎ』)、さらには話がない話(『ゾルタン★星人』)もある。

Down to You

あなたのお気に入りの俳優たちみんなが出発したところ
90年代のティーン映画シーンのほとんどの大スターにとって、名声は一時的なものだった(その証拠が必要ならヴァニティ・フェア誌の2000年特集号の表紙を見てみて)が、『セイヴド!』、『ルールズ・オブ・アトラクション』、『初恋なんかぶっとばせ!』のような映画の登場人物一覧はそれでももっと良いものへ移った俳優だらけだ。ジェイク・ジレンホールは『バブル・ボーイ』なしで今彼のいるところにいると正直に言える?ライアン・レイノルズが『ナショナル・ランプーンのVan Wilder』に出ないで『リミット』の主演を手に入れたか?ちょっと今年のオスカー候補者を見てよ、『ベッカムに恋して』、『バスケットボール・ダイアリーズ』、『プリティ・プリンセス』の卒業生を見つけるだろう。そして『ハロウィンH20』でさえも。

kids harmony korine

いくつかは10代によって作られた
映画『アニマル・ハウス』が1978年に考えられたとき作者たちは30代後半だった。『ポーキーズ』は42歳によって書かれた。ティーン映画が実際のティーンエイジャーによって初めて書かれたのは90年代だけ。思春期の実体験に『サーティーン』を基づかせた14歳のニッキー・リードと、たった18歳で受賞作『キッズ』を書いたハーモニー・コリン。タイプライターに辛抱強く座って90ページを打ち出さなくても、ティーンは行為に加わることができた。19歳のバム・マージェラは自作の劇とスタントビデオ『CKY』でMTV幹部の注目を集めた後、『ジャッカス』に場所を確保した。

Scream

それらはすべてポストモダンとクソ
1996年に公開された後、ティーン映画のジャンルで『スクリーム』が持っていた影響は誇張し難い。作者のケヴィン・ウィリアムソンは一夜にしてハリウッドの王者になり、この10年のホラー映画の最高興行収入10作品のうち4作品(あと、言うまでもなく『ドーソンズ・クリーク』)を書き続けた。突如として、皮肉はティーン映画の重要な鍵となり、そのジャンルはそれ自身のポストモダニティにかろうじてついていくことができた。『インシデント』が出て処女だけを狙った連続殺人鬼を紹介するかしないうちに、『スクリーム』でジェイミー・ケネディはホラー映画の最初の法律「決してセックスすることができない」を言った。

Dawson's Creek

セックスに夢中であると同時に恐れていた
『ドーソンズ・クリーク』と言えば、ジェームズ・ヴァン・ダー・ビークの名の元になった、神経質なその人(ドーソン)よりもセックスに対する10代の態度のよりよい抽出物となる架空の人物はいた?文字通り、番組の6シーズンを通して彼が考えるすべてはやることだが、絶えず何らかの厳格なバプテスト派の牧師みたいに結局それに対して説教をすることになるほど、セックスという概念そのものは彼をとても怖がらせる。他では、『アイドル・ハンズ』と『ジンジャー・スナップス』は同じように恐ろしいホラーの例えを思春期の初期に与える。もし90年代後半のティーンエイジャーが“喪失”を考えるなら、デヴォン・サワの切断された手がジェシカ・アルバのあそこをひっかく光景は、それを延期するのに十分すぎるほどだった。

she's all that

美しさの概念について本当に混乱していた
『シーズ・オール・ザット』が公開最初の週で全米ボックスオフィスで1位になった最初の90年代ティーン映画のひとつになった後、『ピグマリオン』に多くの利益が残されていると映画会社は決めた。その結果は内面の美しさの価値について何か言いたいという多量の映画だった(ティーン映画に身体的魅力の90パーセンタイル以外誰も今までもこれからも現れない)が、それでもなお外側の美しさで知られている人たちを出演させた。『初恋なんかぶっとばせ!』から道徳上価値のあるものを取れるもんなら取ってみろ。

Freaky Friday

入れ替わりのジャンルを自分のものにした
すべてのティーン映画のサブジャンルで最強なのは90年代後半から2000年代前半に代表される。『Wish Upon A Star』(TV映画)、『Seventeen Again』(TV映画、ザック・エフロンのでない)、『13 ラブ 30 サーティン・ラブ・サーティ』、『ホット・チック』、『It’s a Boy/Girl Thing』、『フォーチュン・クッキー』、『アメリカン・ピーチパイ 』、全てはベルイマン映画で場違いに感じないだろう精神・性的テーマ、複雑なキャラクターの力、アイデンティティの本質についての広範な熟慮を誇った。それらはさらにベルイマン映画にはそぐわないと感じなくもないリンジー・ローハンを起用した。

american pie

ほとんど下品なコメディだった(いくつかはまあ大丈夫)
多くのティーン映画のポスターが白い背景で赤い文字、露出した若者がみだらにカメラを見つめているものばかりなのには理由がある。『アメリカン・パイ』に続いて、会社はその段違いの成功を真似したくてしかたがなかった。そしてそれは、クソたくさんの下品なコメディを意味した。それらの90%が『クリスティーナの好きなコト』くらいひどくても、『ユーロトリップ』くらい完璧なのものが常に少しあった。

American Psycho 2

悪いものでさえすばらしかった
1995年から2004年のティーン映画時代に製作された200以上のティーン映画は、失敗作も成功作と同じくらいおもしろかったというのは少しも驚かない。『アメリカン・サイコ2』が20世紀の最もすばらしい文化的偉業作と並んでランクするのに意義を唱える人がいるかもしれない(全くそうである『キャリー2』と違って)が、それが小児性愛的な犯罪学教授としてのウィリアム・シャトナーの啓示的演技のためだけだとしても、極めて重要な歴史的記録であることを阻止できない。

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Charlie(左から3人目)とスタッフとサントラを担当したSummer Camp

チャーリーには、お礼に愛読書である『ハイスクールU.S.A.―アメリカ学園映画のすべて』を贈った。日本語が読めなくても、これだけのことをした人ならわかってくれると思う。

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(2015/4/13追記)
チャーリーから本が無事届いたよとメールが来た。
I can't believe how many films from Beyond Clueless are in there! It's practically a companion book.

「『Beyond Clueless』で扱った映画がどれだけこの本に載ってたか!これはほとんど仲間も同然の本だ」といった感想も書いてあった。
やっぱり彼ならわかってくれたようでうれしい。

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