観る前からすっごく期待していたけど、全然裏切られずに、すごい満足。
オープニングから美しい映像で、もうこれはいいねってならずにいられない。
シャワーを浴びている主人公Joe（Nick Robinson）のアップの映像。
Nick Robinsonは整った顔立ちなので、それがはまる。
決して美しい性格の役ではないのに、こんな風に撮ったのは、やっぱりこの子は美しいって思ってたのかな？
そして、お約束のシャンプーでモヒカンヘアスタイルつくってて、遊び心もいいなと思った。

少年たちの夏休みの冒険物語と思っていたら、子どもと親の問題が扱われてて、ちょうどそういうものを読んでいたところだったから、分析する視点でも楽しめた。
Joeの家はお母さんが亡くなっていて、お父さん（Nick Offerman）と2人暮らし。
お父さんは「ここは私の家だ」っていう厳しい人。
Joeのやることすべてに文句つける。
お父さんはそれがお父さんの役目って思って、男の子だし厳しく躾けないとって思ってるのかもしれないけど、Joeはやることなすこと全部決められてるし、自分でやろうとしたことも文句がつくしで、お父さんに反抗する元気はまだあるけど、それ以外のことでは何だか無気力になっている。
学校でもおちょくられてる（小柄だから？）。
優しくしてくれる女の子Kelly（Erin Moriarty）に憧れてるけど、彼女は年上の恋人がいる。

親友のPatrick（Gabriel Basso）の家庭の場合は、過保護なお父さんとお母さん。
でも、過保護に見えて、本当にPatrickが言いたいことは聞いていない。
親にとって都合のいいことしか見えないし、聞こえないってことにしてる。
そんな両親を馬鹿げてるって思ってるPatrickには、2人の会話は怪獣の言葉のように理解できない言葉に聞こえる。
話が通じないってわかっててあきらめてる。

サインを出しているけどわかってもらえず、このままこの家にいたらダメになるって思ってる。
学期終了パーティで、偶然居合わせたBiaggio（Moises Arias）とJoeは一緒に森をさまよって、森の一角に広い場所を見つける。
Joeは、家を出て、そこに自分たちで家をつくろうとPatrickに持ちかける。
そして、3人で森の中や廃材から材料を集めて家をつくる。その場面に流れる曲がMGMTの「Youth」！正解！
このときは、本当にMGMTに感謝。（映画で「Kids」が流れるのも好き）
そこだけミュージック・ビデオになったみたいで、空の青と森の緑と自然と若者たちがキラキラしすぎていて泣けた。

だだっ広い自然の中に体を埋めてぼーっとする場面が何度かあった。
自分に向かって飛んでくる声がない環境で、物思いにふける。

何気ないことも新鮮で、一瞬一瞬を心から感じて、味わって楽しんでいる。
自然体でいいなあ。

主人公のJoeは、繊細な美少年でも、強靭な勇者でもない。
理想が高いようにみえるけど、めんどくさくなったら手を抜く。
夢は大きいけど、努力は少なく。
ヒーロー的主人公じゃないとこが今っぽい。

自然の中に放たれるけど、積極的に自分探しするわけじゃない。
そこは別に自然の中じゃなくてもよかった。
都会の街中だっていい。
ただ、家じゃないところへ行く必要があった。
まあ、都会に放たれちゃったら、そこからきれいに再生するかは不安なので（ドラマはたくさんありそうだけど）、やっぱり自然の中の方が健康的なんだろう。

男の子たちの冒険は、仲間さえいれば後は何も特別な出来事はいらない。
自然の中で何でも遊び道具にできる。
そこへ女の子がやってくると、男の子たちだけの冒険は終わってしまう。
それまで、何も考えずに保たれていた均衡が、女の子1人の登場で変わってしまう。
女の子はわざと壊してやろうって思ってるわけじゃない。
男の子が女の子の気を引こうって、女の子を1番に見るようになるから。
1番に見てもらえなくなった男の子の友だちは、自分の居場所がなくなったって思うかもしれない。
居場所をつくりたくて逃げてきたのに、取られちゃった。

でも、女の子の冒険の場合は逆だと思った。
女の子の冒険に男（たいてい年上）は、見栄えする遊戯として必要な気がする。
そして、仲間の中に男が入っても、女の子たちの冒険は別に終わらない。
女の子たちの冒険が終わるのは、彼女たちがそれに飽きたときだと思う。
もうこんな子どもっぽいことしてられないねって1人が思ったり言ったりしたら、そこでしらけてお開きになる。
そうやって女の子は大人になる。

だから、男の子は女の子より大人にならずにいやすいと思った。
少年たちの夏休みの冒険を描いた映画はたくさんあるけど、どこかにまとまってないかな？
一気に見るとピュアさで逆に疲れそうだけど。

この3人、気取らない普通の若者っぽさがいい