Vi är bäst! / We Are the Best! / ウィ・アー・ザ・ベスト! ~3人いると社会が出来る

by - 8/08/2016

We Are the Best

1980年代のスウェーデンの首都ストックホルムが舞台。「パンクは死んだ」と言われる時代の中で13歳のボボ(Mira Barkhammar)とクラーラ(Mira Grosin)は熱心なパンクリスナー。クラーラはモヒカンで、ボボも髪をばっさり切った。ピンクの服にピンクのメイク、金髪をふわふわさせた同級生たちはThe Human Leagueの「Don't You Want Me」でエアロビダンスをしてるのとの対比がおもしろかった。体育もできなくて、「協調性が持てないなら走ってろ」って先生に言われてしぶしぶ走る(歩く)2人。パンクのような音楽好きな子はそうだよなとういうのはヨーロッパでも同じよう。そこで2人が「あの体育教師ムカつく」ってとこから曲をつくろうってなって、パンクバンド活動が進んでいく。

そもそも、クラーラが「メルトダウンするのに原発をどんどんつくってどうするの」って話をしているような子で、13歳でどうしたらそういう子になるの?ってのは、クラーラの場合、たぶん親や兄の影響があるんだろうけど(兄はパンクからJoy Divisionとか聴く人になったからクラーラ的にはダメだそう)、仲良しのクラーラの影響は大きいとして一人っ子で親ともあまり交流がないボボはどうして?って思った。その答えは、涙をこらえてベッドでひとり大音量でパンクを聴くボボの姿を見て納得できた。それまでも、学校ではみ出し者の彼女たちの心情を代弁するかのようにパンクがBGMに流れていたことで、こういう歌詞に共感する子たちなんだなってのがわかった。けど、あの孤独感はもっと個人的なもので、ボボはクラーラとも共有できないことをパンクを聴くことで癒されていたのかなと思った。


ボボとクラーラの家は対照的で、電話で話している2人がお互いに「あなたの家のがいいよ」って言っているくらい。ボボの家は、父親はほとんど家にいなくて、母親はパーティ好きですぐに彼氏をつくって、その不安定さをボボが気にしないといけない感じ。クラーラの両親は小さなことでよく喧嘩するけど、お父さんがズボンもはかずに娘の部屋に入ってきたり、弟の髪をクラーラが切ったり、お兄ちゃんが家で開いたパーティにもぐりこんだり、なんだかんだで仲よさそう。

2人は勢いでバンドやろうってなったけど、楽器は全く弾けない。ひっくり返したお鍋とバドミントンのラケットでの演奏が様になるレベル?そこで目をつけたのが、学校の発表会に毎年出てるクラシックギター奏者のヘドヴィグ(Liv LeMoyne)。どんなにひどい野次が飛んできてもめげないところにガッツを感じたのと、いつもひとりでランチしているところに仲間意識を感じたからだった。

ボボが自分の価値なんてないってへこんだときも、クラーラが「あなたには私がいるじゃない」となぐさめるくらい、2人はお互いがなくてはならない存在で、大切な友だちだったのはわかる。そこへヘドヴィグが入ってきてバンド活動も軌道にのってきて、それまでの2人だけの世界が少しずつ変わっていく。ボボは「クラーラばっかりずるい」って思うようになったし、クラーラはそんなボボの気持ちを読み取れない。どっちも、それまではお互いしかいなかったから遠慮や配慮を超えた関係だったんだろうけど、そして幼くてまだ世界も狭かったから。でも、13歳になって、いろいろやってみたいことも増えて、世界が少し広がって、自分が大切って気持ちが芽生えてきたんだろう。そこで2人をつなぐのがヘドヴィグ。ヘドヴィグはずっとひとりだったから、3人で何かすることがきっと全部楽しかったんだと思う。そして、2人よりちょっと大人だからもう少し広い視野で世界が見られる。兄弟なんかで「3人いると社会が出来る」というのを聞いたことがある。自分と相手の対の関係から、三角形になったとき、うまくいかなくなることもあるけど、より複雑でそれが強みになることもあるんじゃないかな。「三本の矢」みたいな。それで、バラバラになりかけた2人をヘドヴィグがつないで「We Are the Best!」ってなる。「誰に何を言われても関係ない、私たちが私たちを最高と思ってればいいの」って、この若さで言われたら敵わない。

だからエンドロールのおふざけはちょっと蛇足だったな…パンクのダサい部分出しちゃった気がした。それまですごく反社会の気質を持ちつつも、何か言ってることわかるね、みたいな感じでおもしろかったから残念。

We Are the Best

真ん中のクラーラ役のミーラ・グロシーンが、大きい目に丸い顔、ハスキー声でちょっとエマ・ストーンみたいに見えて、もしエマ・ストーンが小さいときから活躍していたらこんな感じだったのかなと想像してた。

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