Disconnect / ディス/コネクト ~インターネット社会の子ども

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インターネットがなくてはならない現代社会を舞台に、SNSでのなりすましとさらし、ネット詐欺、未成年のエロチャット等の問題が同時進行で描かれる。
ネット詐欺の話以外は、10代の子どもが関わっているので見ごたえがあった。

特に、なりすましによってネットいじめにあうベン(Jonah Bobo)の話は子どもたちの演技もすばらしく、ずっと涙が止まらなかった。
ジョナ・ボボが子役の頃(『ザスーラ』『ラスト・マップ/真実を探して』)から好きで見ていて、あの小さかった子がこんな大きくなったっていう目線もあったからなおさら。

ベンは友だちがいない。
facebookページを持っていて、自作曲をネットにアップするけど反応はない。
好きなアーティストはRadioheadとSigur Rós(このセットやばい)。
姉はうるさい。学校で話しかけても相手にしてくれない。
父(Jason Bateman)は仕事人間で、まともに会話していない。

ジェイソン(Colin Ford)は父子家庭。
父親は子どもと過ごす時間を増やすためにと刑事を辞め、今はインターネット探偵のようなことをしている。
でも、いつも命令口調で一方的だ。
家は「監獄みたい」。

ジェイソンは親友のフライと暇つぶしに、モールでガン飛ばしてきた(彼らの思い込み)同じ学校のベンにいたずらを仕掛ける。
facebookで女子生徒のふりをしてベンにメッセージを送った。
ベンの気を引くような台詞を2人で考える。女の子の気持ちになって(この真似がかわいい)。
フライがいないときも、ジェイソンはベンとメッセージのやり取りをした。
「家がつまらない」
「親が嫌だ」
2人には似ているところがあった。
フライが調子に乗っていたずらの度があがる。
少し気が引けるジェイソン。
そんなジェイソンに、「お前、あいつのことが好きなのかよ?」っておちゃらけるフライ。
「違うってば」ってじゃれあう2人がかわいい。

孤独だったベンの日常に突然入ってきた女の子。
人と会話することで新しい感情が湧いて、曲づくりにはげむ。
笑ったのはいつぶりだろうか。
そして、その子のためだったら何だってできる。

長い髪で顔を隠して、下を向いて誰とも目をあわせようとしない様子のベン。
いつも無表情だった彼が、口元を少しだけ動かして笑うの!すごくうれしかった。
その彼が、一筋の涙を流す。

学校で、彼の自撮りヌード写真がばらまかれた(昔だったらばらまかれるのは印刷した写真だったけど、今はメールやインターネット上)時の、圧倒的孤独感。
誰も相談できる人がいない。
そして、facebookページはたくさんの人の書き込みで炎上。
唯一の心の拠りどころから裏切られてしまった。

もう帰り道の時点で、お願いだから死なないでって思っていたけど、家に帰ってコンピュータ画面を見ながら泣くところを見たら、もうだめだと思った。
それでも、これは映画だからと安心していたら、やっぱり。
お姉ちゃんの気持ちになると耐えられない。

そして、そこからジェイソンとベンの父の交流が始まる。
ジェイソンはなりすましたまま、子どもの気持ちがわからないと助けを求める親からのメッセージに答える。
そこで、「親はいつだって子どもを愛している」とか、よく聞く言葉を目にする。
実際に言われても、ジェイソンはそれが自分のことだとは思えない。
どこか他のところの話に思う。
事実、ジェイソンの親は今日もやっぱり上辺だけしか見ていない。
ダメと言って躾けるだけ。
ジェイソンが欲しいものはそんな言葉じゃない。
ただ抱きしめてやればいいのに。
その背中がさみしい。

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カイル(Max Thieriot)は、家出した少年少女が共同で生活しているアパートにいる。
そこでは、未成年の子どもたちがエロチャットをやって生活費を稼いでいる。
子どもたちが下着姿でうろうろしているのが日常。
カイルはただ、今、それだけで生きている。(YOLO)
住むところがあって、食べることができて、仲間がいる。

小さいTV局のレポーターのニーナは、そのサイトでカイルを見つけ、インタビューをとる。
ニーナは、カイルに「将来のことは考えないの?ずっとこれを続けるつもり?」と聞く。
自信満々で、陽気でお調子者のカイルが、そこでふと考え、立ち止まる。
用心深くなり、おとなしくなり、仲間から外れだしていく。
それでも、カイルが頼ることができるのは、仲間かニーナだけだった。
とてもひとりでは生きていくことができないのを知っていた。
生きていくために、自分を売ることはできても、仲間を売ることはできない。

子どもが何も知らないから、そんなことをさせられているように外側からは見える。
だからかわいそう、やめさせたいと思う。
それでも、それは大人ひとりで簡単にどうにかできることじゃなかった。
もっと時間と労力がいること。

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今、自分は現実、地球上に生きているんだけど、同時にインターネット上に生きている自分もいる。
その世界には、自分の情報がバラバラと散らばっていて、自分でも管理できないほど。
その世界の自分のどれかひとつでも壊れてしまえば、現実の自分にも被害が及ぶ。
同時にふたつ(以上)の世界をバランスよく生きることは大変だ。
今の子どもたちの多くは、小さいときからインターネットの世界に入っていて、大人よりももっとそっちの世界での行動に慣れている。
ただ、慣れているとはいえ、大人でさえ大変なことをその若さでしなきゃいけないから、被害が大きくなるのだろう。

ネットゲーム依存についての番組で経験者が、
「助け合える仲間ができる。自分に自信が持てる。
そういう体験をできたことがよかった」
というようなことを言っていた。
それは現実に帰ってこれた人だから言える意見なのかもと思った。

カイルは、現実の自分がネットの世界に入っていって活躍していると思ってたと思うけど、ネットの世界で人気者になるキャラクターの生活が、現実の自分以上に大事になっていた。
だから、「将来は?」って現実の世界の自分のことを聞かれると、答えられなかった。
だけど、カイルは気付いたから、そこから何か変わるかもしれない。

またこの前のテレビの話。
「共感百景」で吉田靖直さんが、
「塾でのおれが 本当のおれ」
という詩を発表していた。

これは、現実世界にも学校以外の自分を持つことができるってことだと思った。
だからベンも、学校が嫌、家が嫌、facebookとその子だけって状況じゃなくて、もっと他に自分がいられる場所があったらよかったのに。
最初、テコンドー道場に興味を持つベンがいたのがその暗示だったのかな。

この前、子どもたちが2、3人のグループでゲーム機を持って並んで座っているのが3組くらい公園にいた光景に出くわした。
ぽつぽつと絶妙な配置で座っていて、小さく丸まっている姿が、コダマかな?って、それがとても神聖な景色に感じたから、立ち止まってしばらく見てたんだけど、子どもたちはこっちの視線に気付かない。
外で遊んできなさいって言われたのかな?
だから寒いのに外に出て。
でも、たぶん親はそういう風に遊べって意味で言ったんじゃないと思うけど。

ジェイソンがほしかったのは、心の触れ合いもだけど、抱きしめられることだったと思う。
簡単そうで、そんなに簡単には手に入らないもの。
近くにいても、体と体が触れ合うことがない。
それは、子どもだけじゃなくて、大人も同じ。
ベンの家族も、もう1組の夫婦(Paula PattonAlexander Skarsgård)だって、そうだった。
インターネット社会で生き残るためには、そういう簡単で難しいことを現実の世界でやらないといけないんだと思った。

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