Attack The Block / アタック・ザ・ブロック ~サウスロンドンを舞台に正統派ヒーローとおバカな相棒のバランスが最高

by - 10/06/2012


今年観た中でTOP 3に入るくらいよかった。
『Misfits』好きにはうれしい、サウスロンドンが舞台の若者映画。
コンクリートが分厚い団地や、入り組んだスロープなどは、『Misfits』にも出てきた建築物。
そこを凶暴なエイリアンと少年たちが走り回る。
『Attack The Block』のBlockは団地のことを指しているので、彼らが住む団地の周りだけで事件が起きているのもいい。
限られたスペースが舞台となって、その小さなコミュニティ内でのドラマっていうのは、例えば学年最後の1日を描いた『Dazed and Confused』や、『待ちきれなくて・・・』みたいな感じがしなくもないかな。

そして、登場人物のキャラクターがいい。
特に、リーダーのMosesがかっこいい!
体も1番大きくて、顔もいかつくていかにもリーダーだけど、やっぱり精神的にヒーローとしてかっこいい。
若い子で、こんなにも真っ直ぐにヒーローなのは久しぶりに見たかもしれない。
最近は、どこかチャラかったり、元は気弱だったりする傾向があるから。
でもMosesは、まわりがふざけているのを一歩下がって見守っているような父性がある人で(ああ、これがもうすでにリーダーとして完璧)、時には一緒にノッてくれるし(そこもかわいい)、そしてみんなを守ってくれる(男らしい)。
もし、フランク・オーシャンのThanksレターを実写化するなら?」ってとこでも書いたけど、こんなにも正統派なヒーローでかっこいいのは逆に新しいと思う。
でも、影があるっていうのがちょっと今っぽいところなのかも。
クリスチャン・ベールの『バッドマン』みたいな。
Mosesの場合、その影の部分は社会によって形成されているのも現代的?
貧しい地域で育ち、家庭は冷え切っている。
でも、これはロンドンのサウスではもうずっとそうなのか。逆に今はもっとマシになってる?
ともかく、そういう共感できる背景からヒーローが生まれるのは今どきだよねと思う。


そしてもうひとり、道化役のPest。黒人ばかりのこのグループで唯一の白人。
いかにも頭悪そうなキャラクターで、その分愛嬌があってかわいい。
クールなリーダーと、元気な相棒のバランスが最高。
おバカな白人の相棒と言ったら、『Breaking Bad』のJessie Pinkmanがすぐに思い浮かぶんだけど、Pestはそんな感じだった。(顔も似てる気がする)
いつもふざけてるんだけど、それがラッキーにつながって、だからいなくちゃいけない存在。

他の子たちもほぼ新人というのが良かったのか、監督が上手かったのか、それぞれのキャラクターにハマっていてよかった。
あと、小学生くらいの2人組もかわいかった。
あんな小さい子を使うの大変そうだけど、メインじゃないからぎこちなさもそんなに気にならないし、逆にちょっと休める癒しの時間になるから良かった。

あと、Edgar Wright絡みということもあって、台詞の遊び心も楽しかった。
「有名になりたいならサイモン・コーウェルに頼め」とか、「お子ちゃまはナルト見とけ」とか。

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