Bully / 追いつめられて~アメリカ いじめの実態~ ~いじめにつてのドキュメンタリー
何人かの子どもたちとその家族に焦点をあて、アメリカの学校でおきているいじめ問題についてを描いたドキュメンタリー映画。
こんなところまでもってシーンもあるし、救いがないところもあるから見ていて辛いけど、すごくためになった。
未熟児で生まれ、細身の体形で、目が離れているのを“魚顔”といじめられてるAlex。4人兄弟の長男。歳が近い妹からは露骨にからかい文句を受けるけど、兄弟喧嘩して解決するくらいの関係。まだ小さい下の子の面倒をよくみているが、お母さんは小さい子としか一緒に遊べないことを心配している。今回の撮影を通じて、両親は初めて彼がスクールバスの中でいじめ(暴力)を受けていることを見る。学校に改善を求めに行ったが、どうせ何もしてくれないだろうと諦めている。
校長先生が廊下で困っている子がいたら訳を聞いて対応したり、休み時間に揉め事になった子たちに話し合いをさせ解決させている。だけど、手が回ってないんじゃないかな。この子の問題にもっとじっくりかかりたいけど、時間がないって感じ。
休み時間はみんな教室の外に出るのを命じられているのか、校庭で思い思いに遊ぶ子どもたちの中を1人ふらふらしているAlex。同年代の男の子たちからはからかいの対象になっていて、暴力を受けることもしばしば。バスで乗り合わせた年上の男の子には立ち向かうこともできない。優しいのは同年代の女の子くらい。
彼の妹が来年から中学にあがるから、いじめられっ子の妹だってだけでいじめられるって心配してるのが生々しかった。
唯一心が温まるのは、お母さんが子どものことを思っていて、話を聞いて、行動に出てくれること。小さいAlexが笑ったり何かするだけで、お母さんたちは嬉しかったのよって直接本人に見せてあげる。思春期に入ってちょっと恥ずかしがる年頃かもしれないけど、親から愛されているってことをわかってもらえたら、それを心のより所にしてもらえたら。この期間を乗り越えられさえすれば。
幼い命を自ら閉じた子たちもいる。2人の男の子の家庭が出てきた。
1人は高校生くらいの歳頃。3人兄弟の長男。家の押入れで首をつっていたのを家族が見つけた。まだ小さかった弟もそれを見てしまった。その部屋は今は書斎に模様替えしているがあまり入らない。
もう1人の子は11歳。まだ亡くなって間もない頃に取材したのか、お母さんは憔悴しきっていて、まともに話すこともできない状態。辛かったのは、彼の親友の子の言葉。棺の前で涙が止まらない男の子。
別の女の子はいじめられていることに立ち向かった結果、刑務所(?)に入れられてしまった子。スクールバスで銃を発射した。誰も傷つけてはいない。これもいじめに対しての極端な結果の例かもしれない。子どもが銃を持ってこれるって環境は日本では想像できないけど、それがカッターとかはさみとかで、実際に誰かを傷つけてしまったら、もっと大変なことになるかもしれない。
カミングアウトした女の子も出てきた。男の子の格好をしている。親が受け入れてくれて、味方になってくれる友だちもいるのが救い。都会だったら、もっと受 け入れられやすいんだろうと思うけど、郊外の方にいくと宗教のこともあるし、カミングアウトは重大事項。高校時代にそれをできるって本当に勇気のあるこ とだなと思った。話している本人を見てて賢そうな子ってわかる感じ。
ここ数年、アメリカでゲイの子がいじめられて自殺するっていうニュースが大きく扱われるようになって耳に入ってくる。本当に1人じゃ立ち向かえないと思うから、家族や、友だちがいるってのは本当に大きいと思う。それでも自分なんてって認められずに死を選んでしまう子もいるかもしれないのが悲しい。
郊外の何でもないような学校や家庭が中心で、本当にこれが普通なんだろうなって感じ。
『Waiting for Superman』(2010)っていうドキュメンタリーは見てないけど、これも予告編見ただけで涙が止まらない。アメリカの公立校の学力レベルの低下について扱っていて、貧しい家庭の子どもは学力があって、勉強したいという意思もあるのに行ける学校を選べない。いい公立校に入れるかどうかは運だなんて。
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