Jumanji: Welcome to the Jungle / ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル ~画期的なティーン映画
観るまではこれをティーン映画といっていいのか?と思っていたけれど、観たらティーン映画だというしかなかった。Dwayne Johnson、Kevin Hart、Jack Black、Karen Gillan、Nick Jonasはゲームのアバターで、例えば『Ready Player One / レディ・プレイヤー1』がCGでやっていることを実人間でやっているってことになる。だから30代~40代の俳優が10代の役を演じることが不自然にならない。今まで20代の俳優が10代を演じることでさえ無理を感じる場合があったことをふまえるとこの方法は画期的。これを活用すれば、デビューが遅かった俳優の10代の演技が観られるかもしれないという期待がふくらむ(デイン・デハーンとか)。だけど10代の容姿はそのときだけのものだから、やっぱりそれを活かした演技はなくならないでほしい。実世界の高校生を演じた、Alex Wolff、Ser'Darius Blain、Madison Iseman、Morgan Turnerがこの映画では見せ場が少ないために、印象に残りづらかったので。
『Ready Player One / レディ・プレイヤー1』では、自分好みの姿形のアバターを選んで特殊能力を追加することもできたのが、『Jumanji: Welcome to the Jungle / ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』では適当に選ばれたアバターだという違いがある。結果的にそれぞれの人物が本来もっている性質と離れた姿形や能力を得ることになり、自己や他者を見つめる機会としての機能性が高められている。性別が変わってしまうことで「地図が読めない女」っていうステレオタイプを打破して女の子が賢くてもいいってなっていたり(実際いざこざで自滅する男子より女子のが賢いと思った)、女の子が戦っているのを心配してみたけれどひとりで対応できるとわかると身を引いていたりして、女の武器を使う設定はあったけれど、実社会での性役割を超えてそれぞれの個性が発揮されるようになっていたのがよかった。5人のパーティが揃って力を合わせないといけないというゲームの仕組みを活かして、ティーン映画の古典『The Breakfast Club / ブレックファスト・クラブ』に当てはめたのも上手い。
あとドウェイン・ジョンソンも、まず登場した瞬間に、いきなりあの表情。もう、「ザ・ロック!」っていう表情をいきなりして、いきなりそこで爆笑を取っていくという。そんな感じで、さっき言ったように全編が、ザ・ロック、ドウェイン・ジョンソンという存在に対する批評的パロディー、みたいにもなっているわけですよ。なので、本作は何よりも、その二重性ですよね。劇中の人物……しかも劇中の人物は、屈強なキャラクターでありながらその中身は童貞のオタクであり、しかもそれ全体がロック様というものの批評的、メタ的なギャグになっており、っていう二重性みたいなものを、見事な自然さ、力の抜け具合で、(一見)なんてことなく演じきっているドウェイン・ジョンソンというスターの、すさまじい懐の深さと、上手さ。上手いですよ、やっぱりこの人。そしてやっぱり、圧倒的なチャーミングさ。これを愛でる作品っていうことは、もう間違いないと思いますね。
宇多丸、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』を語る!【映画評書き起こし2018.4.13放送)| TBSラジオ
私個人の問題としてジャック・ブラックが苦手だったし、ドウェイン・ジョンソンが出ている作品を観ることがなかったんだけど、今回のようにその俳優のステレオタイプから外れた演技によって克服できることがわかった。前に『Tropic Thunder / トロピック・サンダー/史上最低の作戦』でトム・クルーズを克服した経験があったのを思い出した。宇多丸さんが流石上手な説明をしていたので引用。
PS. 90年代のアレックス(Mason Guccione)が1番かわいかったよね?
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