GQ誌が選ぶオシャレなミュージック・ビデオTop30 (18-13)
GQ Magazine : 30 most stylish music videos
今回は、18~13位までを。ようやく半分になった。
いまさらだけど、これって6つずつなんだね。だから残り2組!
人はこのこざっぱりして品位のある決定論の発想に直面したことがない。「Once In a Lifetime」は基本的に、いかに我々は時間がすばやく過ぎ去るのに意識半分で、ほとんど無理性な人間であるかについてのことなので、David Byrneは細い棒タイ、角張った縁眼鏡、ポケット・チーフ、Thom Browneの基本形スーツを着て彼の運命を認める。そしたら、格好良くキマった。曲のテーマを説明する上で、彼は誰かが紐で操っているかのように手足を暴れさせ、抜群の操り人形の真似をする。これは怖い。しかしByrneのとんでもない人形ダンスは、人々を「あれ、どうやってここに来た?」と自問させ、恐怖心をやわらげるだろう。
年と共に全てが良くなるわけではない。そしてそれは彼らの願いに反する。The Whoは年をとる前に死ななかった。Daltrey氏は長年の間にたくさんの格好をさせられた。サイケデリックなフリルから、切りっぱなしのアリーナ・ロックT、そして2010年のSuper BowlでRogerが来たきらびやかなブレザーまで。しかし、彼らは初めが最も良かった。彼らの最初のヒット曲のビデオに特別なことはない。ただの初期のロックの神のバンドが、まだ若く縞のセーターとプレッピー・ブレザーを着て、まだ他のみんな同様にThe Beatlesを追いかけ、家いっぱいの新たに囲んだ古臭い人たちとポップな演奏を傍若無人にする。
これはまさにある種の逆の進化だ。ロックの恐竜になる前のThe Whoは、申し分なくおめかしたバードキャッチャーだった。
一般人の悔しさいっぱいな、このショート・フィルムの長さのビデオ「Runaway」を、ひとつひとつ特注で制作するためにデザイナーのPhillip Limと組み、Kanye Westは「Ultra Travolta」になった。ピアノの上からバレリーナたちの中に飛び込んでいるにもかかわらず、Knayeがずっとボタンを閉めているクリーム色のディナージャケットは、この作品の中でも評判が悪い。どうってことはない。Westのディナーの招待客たちもしっかりと白と黒、クリーム色のドレスコードで盛装していた。決してKanyeの自己中心主義を打ち砕くことはないだろうすばらしいスタイルの出来栄え。それに我々は他の方法がない。
我々は、このビデオをスーツで選んでいない。これは“Swagger”につきる。危険な俳優Christopher Walkenに服従の究極の象徴、ワンサイズのサラリーマン・スーツを着せると、Walkenらしさが倍増する。58歳が若返ったように踊るのを見るのは、人生を肯定するような体験だ。特に、スタイルの偉人、Fred Astaireと『マトリックス』のNeoを参照した振りの時は。でも、最高なのはWalkenが振り付けからはずれて彼自身で動く時だ。2:13のアライグマに発想を得たシミーダンスは、俳優の妨害、無表情、すぐれた笑いをこのひとつの振りにうまくまとめた非常に高度な選択。かっこいい。
「最もオシャレ」というのは、必ずしも「良い着こなし」ではない。Kurt Cobainと仲間たちはそういった抵抗する世代と定義する世代のグランジの神だ。彼らはワシントン州アバディーンといった小さく無名な場所から出てきた。ぼろぼろの縞模様のTシャツ、チェーンウォレット、コンバース・オールスター、髪はふにゃふにゃぱさぱさで、腐ったパスタみたい。でも影響力は偏見を知らない。半年以内にはグランジファッションはランウェイを気取って歩き、ファッション雑誌中に広がった。若者も真似し、それは時に金持ちよりも良かった。だって彼らの服はKurtのがそうだった様に、確実に安物でお下がりだった。さらにこれもKurtと同じで、彼らはひねくれた不満や疲れたため息といった態度が服と同じくらいだと理解していた。怠け者万歳!
オランダの写真家で映像作家のAnton Corbijn(影、光、壮大さの達人)によってとらえられた、手足が長いオーストラリアの殺人鬼バラード歌手Nick Caveとその仲間Bad Seedsは、このありのままのビデオ「Straight To You」以上には決して良くも悪くもならない。4回のさわやかな衣装変え(どのスーツも前のよりもさらに魅力的になって)で、革のようなCaveは、一種の表現への宗教的な傾倒を宿し、やりすぎことを恐れるが、外れすぎてない。これはうまくやった古典主義だ。
0 comments