Dirty Girl / カリフォルニア・ガール~禁じられた10代~ ~最高のGBF
ずっと観たいと思っていたのをやっと観た。
邦題のせいで、手に取るのを拒みかけた。
背表紙だけだとわからないね。
舞台は1987年。80年代の青春映画でも、ジョン・ヒューズみたいな雰囲気ではなく、もっとギラギラギャルギャルした雰囲気。田舎の子だからかな?
主人公のDanielleを演じるJuno Templeは、エロくて性格悪いビッチな役柄なのに、小枝ボディで童顔なので、いたずらっぽい少年のよう。
そのおかけで、この主人公を嫌いになることがなくなったと思う。
お父さんに会いたくて、そのためだったら何でもするところも純粋でかわいい。
金髪で頭の弱いビッチというのは彼女の武装で、本当は賢くて優しい女の子ってのがわかる。
そして、Danielleの相棒Clarke(Jeremy Dozier)の成長に胸がじーんとする。
彼は、男は男らしく育つべきという父親の期待に萎縮していて、肥満体をフードで隠して誰とも目を合わせず、目立たないように、何も問題を起こさないようにって意識して、趣味や好きなものはこっそりと楽しんでいる。
そこへ、すべてを自由に解き放ったようなDanielleが登場する。
2人は小麦粉袋を赤ちゃんに見立てて男女で育てましょうっていう課題に一緒に取り組むことになる。
Danielleは、負け犬のClarkeと一緒にいるところを見られるのを嫌がって全然やる気がない。
初めはClarkeも乗り気じゃなかったけど、たぶん初めてまともに話をしてくれる相手(=Danielle)を得たことで、徐々に積極的になり、本当の姿を出し始める。
そして、彼はゲイだから一緒にいてもそういう関係じゃないっていう理由を逃げ道に、Danielleも真面目に課題に取り組み始める。
人懐っこくてひょうきんな本性を現し出したClarkeに、Danielleはちょっと押され気味。
でも、体の関係だけで人と付き合ってきたDanielleにとっても、Clarkeは普通のことを話せる貴重な友人になっていく。
そして、誰にも話していなかった、会ったことのない父親の話を打ち明ける。
Clarkeにとっての父親は、息子を型にはめようと、あの手この手で押し付けて(時には暴力も使って)くる、今すぐにでも逃げ出したい存在。
一方、Danielleにとっての父親は、憧れとともに、自分を捨てたんじゃないかっていう心の傷でもある。
見た目も、父親に対する想いも異なるな2人が、思いつきのDanielleの父親探しの旅に出る。
この旅にDanielleは、どうしても相棒が欲しかった。
車がないからってのは理由のひとつにすぎないと思う。
つまらない町、家から逃げ出したいって思っていても、彼女は頭がいいので演技では大胆に振舞えても、本気になったら躊躇してしまうんだろう。
そこで、Clarkeを父親からの脱出という旨い話で誘ったんだと思う。
Clarkeは、 Danielleにはない純粋な大胆さがある。
彼の根っからの明るさは、まだ見ぬ父親に会うという不安を和らげてくれることだろう。
Clarkeは、Clarkeで、この機を逃す手はないとばかりに殻を破って冒険する。
通りすがりのイケメン(ラスベガスでダンサーをやるためにヒッチハイク中)を拾い、目を輝かせてはしゃぐClarkeがすごくかわいい。
Danielleが性体験値からお姉さん気取りになっているのもかわいい。
一人っ子で、お姉さんみたいなママ(Milla Jovovich)と2人暮らしのDanielleなので、不器用なところもあるけど、彼女なりにClarkeをとても大切にしようとしているのがわかる。
Clarkeは、甘やかされた一人っ子。
初めはDanielleのが上下関係では上だったのに、慣れてからは完全にClarke主導になってる気がした。
しかも本人の意識なくやってるだろうやつ。
でも、なんとかしてあげたいって思わせるのも魅力だ。
それくらい、Clarkeの笑顔は大切にしなきゃって思わせる何かがある。
ママの話やパパの話もいろいろあるけど、この映画は最高のGBF、Clarkeを見るだけで十分。
って調べていたら、監督・脚本のAbe Sylviaは学生時代、Clarkeのようだったそう。
でも両親については別で、恵まれていたってインタビューで言ってた。
この監督の性格がそのまま表れた映画なんだ。
Abe Sylvia |
余談では、大好きな『Shameless』のだめだめパパ、William H. Macyがモルモン教徒のパパっていう役で出てたのも良かった。
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