Margaret / マーガレット ~全部思春期のせいではない
17歳の Lisa (Anna Paquin)が主人公。両親は離婚(か別居)してて、女優の母親と弟とNYで暮らしている。母親はキャリアに重要な舞台を控えぴりぴりしている。父親は西海岸で彼女と暮らしていて、子どもたちとのメキシコ旅行を計画中だが、 Lisa とその彼女の関係はあまりうまくいっていない。 Lisa は勉強を手伝ってくれる同級生の Darren に好意を持たれてるのを知ってて、薬の売人(Kieran Culkin)に処女喪失を手伝ってもらう。今の人生に満足でもないし、不満もあるけど、それを自分が努力して変えようとは思っていない感じ。だけどある日、自分の目の前で交通事故が起きて、その被害者を看取ったことによって彼女の人生がドラマチックに変わっていく。
言葉通りに Lisa はドラマクイーン(悲劇の主人公)になる。その事故の原因に自分もからんでいたこと、そしてそのことについて嘘をついてしまったこと、被害者の娘と同じ名前だったことなど、いろんな理由があってこの事件にのめり込んでいったわけだけど、それ以上にただ単に彼女が若く、自己中心的だったから、自分の代わり映えしない人生に刺激が欲しかっただけだと思った。 Lisa は関わった人のことを心配しているようで、自分がかわいそうなことになるのが1番嫌だし、相手の立場になって気持ちを考えるということが上手にできない。それはまだ若いからしょうがないことで、彼女のまわりの大人はそれをわかって付き合ってくれる。それでも Lisa が満足できないのは、彼女の最も核になる部分である家族が分裂していたから。父親に相談しても電話では十分なやりとりができない。母親は仕事と新しい恋で手一杯で、もう17歳の Lisa のことは大人扱いしている。
たとえ年齢に比べてしっかりしていても、まだ子どもであることには変わりはなく、自分ひとりで対処できることには限界がある。何も教わらなければ、子どもはどうしたらいいかわからない。わからないけど、どうにかしたいから Lisa は周りの大人に寄っていく。そこでSOSを出しているんだけど、まだ会ったばかりの他人に私を理解してって押し迫ってもすぐ反応するのは難しいだろう。 Matt Damon と Mark Ruffalo という文系モテな俳優陣が思春期のホルモン過剰で制御が困難になっているハイパー・アンナ・パキンに消耗させられる姿が見られる。そして Matthew Broderick は『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』みたいに超特急女子高生にたじたじになる先生キャラ。アンナ・パキンは、すぐに感情が沸点に達したり、視野が狭くなったりしてしまうのを制止できないティーンエイジャーをすごくうまく演じていて、見ていて嫌いになるほど(私はNY生まれの白人っていう特権階級意識は特にひどい)。だけど、自分も昔はすぐに声を荒げて反抗してたなってのを思い出した。それは当事者にはわからないことだったんだなって思ったら、 Lisa を単純に責めるのは違うなと思った。
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