Les combattants / Love at First Fight / ラヴ・アット・ファースト・ファイト ~フランスの新しいボーイ・ミーツ・ガール映画
男の子が不思議ちゃんに出会って恋に落ち、っていうボーイ・ミーツ・ガール映画なんだけど、不思議ちゃんの女の子が、パステルカラーや花柄を好んでバレリーナの人形がついたオルゴールを持っているようなタイプでなくて、スミスやシンズを聴いているわけでもないのが新しいところ。
この夏もいつものように友だちと遊んで、兄の仕事を手伝ってって思ってた主人公アルノー(Kévin Azaïs)は、ビーチで行われていたレスリングの対戦相手としてマドレーヌ(Adèle Haenel)に出会う。女相手に試合できないよって言っておきながら、負けそうになるとずるしてしまったアルノー。マドレーヌとの出会いは苦い思いを味わった。
マドレーヌは、世界の終わりを案じて備えてると言い、プールで変な泳ぎ方をしたり、おもりをつけてもぐったりしてサバイバル技術を磨いている不思議ちゃん。目的意識がはっきりしていて、しっかりしているようにも見えるけど、一つのことにとらわれているためにそれ以外がおざなりになっているので社会参加ができていない。同年代の友だちもいないっぽい。いつもむっつりしていて命令口調。
一方、アルノーは友だちがいて、家業という仕事もあって、社会参加はしているようだけど、特に人生に目標がなく、流されるままに生きていた。だから自分の人生に突如現れた新鮮な存在のマドレーヌにどんどんはまっていく。マドレーヌはそういうものに興味がなくて全然こっちを見てくれないから、どんどんひとりで一生懸命になって思いだけを膨らましていく。
そんな一方通行が変わるのは、ずっと追いかけていたアルノーがマドレーヌをこっちに引っぱって振り向かせたから。だけど、振り向かせておいて、アルノーはまた前を向いて進んでいってしまう。マドレーヌは、仕方がないからついて行く。そして、2人だけのサバイバル生活が始まる。でも、アルノーがしたその小さな反発行為によって、マドレーヌに小さな変化が起こる。彼女の視界にサバイバルとは関係ない、人としてのアルノーが入ってきた。自分に足りないものをお互いで補うように2人は距離を縮めていく。
戦闘能力を高めること以外に興味のない(現実を生きていない)女の子マドレーヌを演じたアデル・エネルは美人で、体格もよくて、それだけでも魅力的だけど、強いようで実は殻にこもった奥手な女の子という複雑さも、瑞々しく表現していてかわいかった。アルノーを演じたケヴィン・アザイスも、モラトリアムで繊細な男の子という役柄にあった見た目でよかった。
フランス映画祭2015特別関連企画
彼らの時代のすべての少年、少女たち
アンスティチュ・フランセ日本
最終 6/25 16:00~
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1506251600/
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