One Direction (1D)の弟分バンド、5 Seconds Of Summer (5SOS)の人気の理由
5 Seconds Of Summer Debuts At No. 1 On Billboard 200
5 Seconds Of Summerのデビュー・アルバムが発売1週間で259,000枚売れて、初登場としては今年3番目、1週間の売り上げ記録では4番目に当たることになった。(1位はColdplayの『Ghost Stories』で383,000枚)
というニュースとともに、Billboardで
How 5 Seconds of Summer Perfected One Direction's Rock-First Formula
という記事が出ていた。
イギリスではどうなっているの?と思い、Guardianを調べてみたら、7/10の記事で
5 Seconds of Summer: punks or boyband?
ってのがあった。
この2つをまとめて、どうして5 Seconds Of Summerが人気になったかを見てみる。
その人気の理由として、いくつかのことが組み合わさっていると書かれていた。
With the combination of their awkward teenage charisma, the experience of One Direction's team, Radio 1's belief that rock is due for a return and the waning popularity of X Factor-generated boybands, 5SOS could be the blueprint for the next generation of music industry success stories. (via guardian)
- 不恰好な10代のカリスマ性
- One Directionとツアーをした経験
- ロックのリバイバル
- X Factor発のアイドルの人気衰退
特に上から3つのことはBillboardでも同じような内容だったので、そこをまとめてみたい。
1. One Directionとの関係
It helps that 5SOS is closely associated with superstar boy band One Direction: 1D's Louis Tomlinson shouted out the Australian group on Twitter back in November 2012, and the pair of heartthrob collections have since toured stadiums together. (via billboard)最初に5SOSの人気のきっかけになったのは、1Dのメンバーが彼らのことを拾い上げてツアーの前座として抜擢したことだ。
デビュー前にして、何万人規模のアリーナツアーの舞台に立った。
それによって、1Dのファンの女の子たちを惹きつけることができた。
5SOSの見た目は十分(すぎるくらい)に女の子たちに届いたんじゃないかな?
An updated Busted with global appeal and better looks, they are the logical next step for 1D fans who have entered their teens and fancy something a little less tepid; who want songs about snogging in libraries and hating their hometowns. (via guardian)それはどっちかというと、1Dファンの中でも少し大人な、もう1Dはちょっとヌルいわねって女の子たちに特に響いた。
2. ロック・バンドであること
But the secret to their success isn't that 5 Seconds of Summer was hyped by a huge artist -- it's that they followed that artist's rock-centric movements, and at the perfect time.Billboardはこのことに関して詳しく述べていて、全部引用すると長いから要約する。
With their debut album, 5 Seconds of Summer has extended the ideas of One Direction's recent Midnight Memories album, but hasn't had to deal with the whole "boy band" social stigma. (via billboard)
Billboardが言う人気の理由は1Dのロック寄りの音楽性をさらに発展させて、それがちょうど音楽界の動きとも合っていたというもの。
音楽界は、エレクトロやEDMブームが落ち着き、ロック・リバイバルの時期へ入っているそうだ。
2012年にフォーク・リバイバルがあり(Mumford and Sons)、それはあまり長くもたなかったが、その影響は、Ed Sheeran、Lorde、Bruno Marsらが成功していることから感じられると言う。
それ以外にも、新人枠でBastilleやAmerican Authors、ベテラン枠でParamore、Fall Out Boyがヒットを出したと名前が挙がってた。
また1Dの音楽性として、デビューの頃から曲がギターと結びついていた。
"Each of the songs have signature riffs -- something so people can play YouTube versions of our songs," Carl Falk, who co-wrote 1D hits like "What Makes You Beautiful" and "Live While We're Young," told Billboard in 2012. (via billboard)どのヒット曲にもキャッチーなリフがあり、それはYouTubeでのカバーをしやすくする意図があったと作曲家が言っていた。
今はYouTubeでの拡散力を無視できないからね。
90年代を代表するBoy Band(男性アイドル)の*N SyncやBackstreet Boysの、Hip HopやR&Bを中心とした音楽性(最近ではJustine Bieberとか)とは違い、1Dは現在音楽シーンで徐々に復活しているロックに目をつけたそう。
1Dが下地を築いた恩恵を受けて、5SOSは満を持して出てきたと言う。
They've got the right media backing, too: the alternative press are keen, with nods from Rock Sound and, as previously mentioned, Kerrang! George Ergatoudis, the head of music at Radio 1 and 1Xtra, (via guardian)5SOSはロック雑誌(PunkやMetal寄り)からの支持も受けている。
確かに、1Dではこういう雑誌の表紙になれないから有利かも。
オーストラリアのティーン向け雑誌 |
3. One Directionとの違い
One Direction and 5 Seconds of Summer come from different backgrounds -- a British "X Factor"-bred pop group versus a YouTube-born rock collective from Down Under (via billboard)1DはTVのオーディション番組で生まれたグループなのに対して、5SOSは高校の同級生が集まってYouTubeに曲をアップロードして活動を始めた違いがある。
最初は既成曲のカバーをしていたが、自分たちでオリジナル曲をつくるようにもなった。
彼らは他のバンドと同じく楽器を演奏する。
メジャー契約をして、プロデュースされたり楽曲提供されたりするけど、その根っこの部分は変わらない。
Being in a band in Riverstone, their suburb, was not easy, they say. Irwin claims to have been "nearly stabbed" multiple times. "It's proper violent," he says. "Which made us stick together, and that's what grew our bond together, because when we met, we realised we're the same. We don't necessarily belong." And nothing is more likely to generate ferocious loyalty among a teen fanbase than the knowledge that their heroes didn't belong either. (via guardian)郊外で同じような仲間がいなくて孤立していた背景は、似た境遇の若者に共感を持たれやすい。
また、1番目の理由のところでもあったように、1Dのアイドル感からちょっと背伸びをしたいような女の子に5SOSはちょうどいいんだと思う。
vintage band T-shirts are integral to 5SOS's image: "You can tell our fans from a mile away, they're the ones wearing Nirvana shirts," Irwin says (via guardian)彼らが着ているバンドTを真似してファンの子たちもロック・バンドのTシャツを着る。
そういうちょっと背伸びをしたいような子には、自分が生まれる前のバンドを知ってるってのは、かっこいいって思えるんじゃないかな?
The songs on 5 Seconds of Summer hint at a punk-rock snottiness that may reveal itself on future albums (via billboard)それに、Punkの持つやんちゃなイメージも、5SOSをちょっとお姉さん向けにしている部分なのかも。
There was even an unexpected 10% surge in sales of men's American Apparel underwear earlier this year, which was attributed to the garment's product placement in the lyrics of their million-selling single She Looks So Perfect. (via guardian)アメアパのブリーフの売り上げが上がったとか。
アメアパが本国でどれくらいの程度で扱われているかわからないけど、あの広告は小学生(中学生は微妙?)には見せたくないと思ってしまう。
それに、「She Looks So Perfect」のMVはアイドルってよりはIndieっぽいって思った。
(その後の「Don't Dtop」は単純にかわいい)
まとめ
5 Seconds Of Summerは、One Directionの弟分として知名度を上げ、1Dの特徴であったロックの音楽性をバンドとしてさらに強め、アイドルファンから一歩背伸びしたいと思っていた子たちに響いた。さらに、それが音楽界のロック・リバイバルとも合い、メディアからの支持も受けて人気へとつながったんだとわかった。記事にあったように、半年前はほとんどの人が知らなかったのにってのを最近すごい感じる。
拡大の速度が速すぎで、私はもうついていけてない。
一瞬で大きくなってしまったって感じ。
それには、1Dのときに培った会社の経験もあると思うけど、それにしても早いと思う。
記事にはもちろん、SNSのファン規模についても書かれていた。
今回はそれじゃない部分の人気について知りたかったから省いたけど。
facebookをこまめにチェックしているわけじゃなくても、世界中のファンへのフォロー(ファンの集まりを紹介したり、ファンアートを紹介したり)が丁寧だと思った。
1Dはもう大きすぎてそういうことができないからか、一方的な発信が多いように思う。(それでもマメな広報だと思う)
5SOSももうすぐそうなれなくなるのかな。
あとは、ちょっと背伸びをして5SOSを聴くようになった子たちが、そこからBastilleやAmerican Authors、Paramoreとかを聴くようになったらいいと思う。
5SOSが表紙のロック雑誌をぱらぱら見ていたら気になるバンドが見つかるかもね。
Paramoreはそっち系かもしれないけど、BastilleやAmerican Authorsはどうなんだろう?
Imagine Dragonsはぎりぎりそっちかもしれないけど、The 1975は違うよね?
とか、そんなことを考えながら終わる。
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