Heaven Knows What / 神様なんてくそくらえ ~NYホームレスのジャンキーの愛
東京映画祭でCaleb Landry Jonesが登壇するということで見に行った。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは紺のジャケットに葡萄色のシャツ、蝶ネクタイ、パンツインした黄色いドナルドダックの靴下が絶妙で、登場から目を引いた。
そして喋り出しても、Fuck連呼でお客さんの注目を集めていた。
遅い時間だったから疲れていたのか、途中、マイクを頭にぶつけたり、蝶ネクタイをほどいたり、ほどけた靴紐を結んだり、集中力がだいぶ切れていたみたい。
それでも眠気で?潤んだ瞳がかわいくて、おまけに小顔でちょっとメイクをしていた?アイシャドーとラインが引かれた顔は美しかった。
汚い言葉を使うのもだけど、もったいぶって、本心は言わないような喋りもどこか大げさに感じて、服装や見た目が風変わりなのも相まって、アーティスト・オーラがすごかった。
今までに何度か記者会見などで俳優の人を見たことあるけど、こんなにも気難しいアーティスト然としている人を見たのは初めて。
これは若さからくるものなのか、彼が芸術家気質なのか、どういうつもりなのだろう?
それでも、これまでの作品(『X-Men』を除く)はマイナーな印象が強いので芸術家志向なのかなと思うけど、そしたらあのきれいな顔はきっと邪魔なんじゃないかなと思った。
俳優って演技力はもちろんだけど、顔の職業だなと最近思うことが多く、どんなにやりたい役があっても、似合わないと選ばれるのは難しいんじゃないかと思う。
例え顔を無視して演技力で配役したとしても、顔が向いてるまあまあな演技する人には勝てないんじゃないかな。
そういう意味で個性的な顔は武器にもなるけど、使い方をわかるまでは大変だろう。
それに、それが自分のやりたいことと合うとも限らないし。
と、余計なお世話をひたすら考えていたQ&Aだった。
映画は、主演の女の子、Arielle Holmesが自身の体験を書いた本『Mad Love in New York City』を元にした内容。
NYのホームレスのジャンキーって設定で、純愛の物語っていうとすごくかっこいい、孤高のヒーロー、ヒロインみたいになりそうだけど、そうじゃなく、汚く、貧しく、救いがなく描かれていて、ああはなりたくないと思えたところがよかった。
ただ、環境は普通じゃないけど、ロマンスの部分は普遍なものなので、共感できるようになっていた。
薬に中毒になっている状態で、ひとりの男しか見えないのも中毒で、その状態でその日暮らしってすごいなってのが素朴な感想。
現実だったのがすごい。
若いホームレスは自らそうなってきた人もいるとのこと。
その自由さが若さもあるし、とても魅力的に見える。
実際、映画でも、自由な部分はきれいに描かれていたと思う。
でも、薬に頼って、それ中心の生活で、独自のコミュニティで生きていて、まわりの社会からは完全に閉め出されているっていうのも描かれていた。
たくさんの人が通る街で、誰にも見られずに座ってものを食べている様子。
もうまわりには不審だと思う様子すらない。
最初からないものみたいな感じ。
それでも、図書館や、ファーストフード店、小売店などではその他大勢の中の一員になるし、会話もする。
そうやって社会とかかわりが少しでもあると、ならなんで真っ直ぐ育ってこられなかったのかなって残念に思う。
それには、欝だったり、どうしても世の中にうまく合わせられない人がいるってアリエルがQ&Aで言っていた。
本人の体験から語られる言葉は重い。
Q&Aで監督が、地下鉄でアリエル・ホームズを見て、一目で映画に出て欲しいって思って声をかけたって話をしてて、さらに、「映画にはスターが必要だ。アリエルはスターだ」って言っていて、確かにこの映画で彼女はスターだった。
よく見るとそこまで美人じゃないけど、独特のすれた魅力のある女の子。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは、髪を真っ黒に染めて伸ばしていて、眉毛も黒くして、マスカラもしていた?でもひげは透き通る毛質のままだった。
ろれつの回らない独特の喋り方と、やっぱどんなに汚くしても目立ってしまうかわいさで、この子に惹かれてしまうってのがわかる配役。
好きだったモデルYuri Pleskunが出てることをオープニングクレジットで知ったんだけど、見た目がだいぶ違ってすぐにわからなかった。
坊主頭が印象的なモデルだったので、金髪になってて、頬もすこしふっくらしていた気がする。
でも切れ長の目は変わってなかった。
イメージ画像。今も現役でモデルだった |
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