ヤングアダルト(YA)小説の実写映画化作品まとめ ~キラキラ映画について考える(2)
キラキラ映画について考える第2回は、洋画に目を向けてヤングアダルト(YA)小説の実写映画化作品についてまとめてみたい。
第1回:
少女漫画の実写映画化作品まとめ ~キラキラ映画について考える(1)
まずはこの2つを参考にして作品数を調べてみた。
Box Office Mojo | Young-Adult Book Adaptations
Wikipedia | List of teen films
今回はキラキラ映画について考えるということで、若者を対象とするために児童書を除いた(『ハリー・ポッター』シリーズの後半はYAに入れてもいいんじゃないかと思うけどキラキラではないのでまとめて除いた)。またアメコミについても、キラキラ映画が少女漫画原作に多いということを反映して除くことにした。
80年代には、フランシス・フォード・コッポラによってS・E・ヒントンの小説『The Outsiders / アウトサイダー』『Rumble Fish / ランブルフィッシュ』が映画化され、ブラット・パックと呼ばれる若手俳優が人気となった盛り上がりがあった。しかし2000年代以降の作品数と比べると少なく、実写映画化が最近のブームなのだとわかる。
このグラフを見ると、『Twilight / トワイライト〜初恋〜』(2008)の影響がすごかったんだと想像できる。実際にティーン向け雑誌でもずっと扱われていたし盛り上がっていたことを覚えている。シリーズは2015年まで続き5作品つくられた。このようにシリーズがつづくことは減っていて、『ハンガー・ゲーム』シリーズ以降のヒット作はない状況。ここらへんの変化については、過去にヤングアダルト(YA)小説の実写映画化についてまとめた記事で触れている。
LAタイムズ紙が選ぶ映画化されたヤングアダルト(YA)小説25冊をもとに、日本公開の傾向と原作本について
ヤングアダルト(YA)小説の映画化 『ハンガー・ゲーム』以降の戦うヒロイン比較 (2) 原作
第1回では掲載雑誌についてまとめたけど、今回はできないので原作者についてまとめてみる。シリーズは1作品と数えると以下のような結果に。
- David Levithan (3)
Nick and Norah's Infinite Playlist (2008)※
Naomi and Ely’s No Kiss List (2015)※
Every Day (2018) - Rachel Cohn (2) ※David Levithanと共同
- John Green (2) ※+(1)ドラマ化予定
The Fault in our Stars (2014)
Paper Towns (2015) - Meg Cabot (2) ※+(1)ドラマ
The Princess Diaries (2001)
Avalon High (2010) - Stephenie Meyer (2)
Twilight (2008 - 2012)
The Host (2013) - Nicholas Sparks (2)
A Walk to Remember (2002)
The Last Song (2010)
この中でニコラス・スパークスは今まで11作品が映画化されたという作家で別枠かなと思う。今後の傾向を考えるとジョン・グリーンとデイヴィッド・レヴィサンの作品は増えそう。
そしてキラキラ映画のように同じ監督が多いのかについても調べてみた。シリーズでも違う監督が担当することが多いので、別々に数えることにする。母数が違うので、多くても3作品だった。
- Francis Lawrence (3)
The Hunger Games: Catching Fire (2013)
The Hunger Games: Mockingjay - Part 1 (2014)
The Hunger Games: Mockingjay - Part 2 (2015) - Wes Ball (3)
The Maze Runner (2014)
Maze Runner: The Scorch Trials (2015)
Maze Runner: The Death Cure (2018) - Bill Condon (2)
The Twilight Saga: Breaking Dawn Part 1 (2011)
The Twilight Saga: Breaking Dawn Part 2 (2012) - Robert Schwentke (2)
The Divergent Series: Insurgent (2015)
The Divergent Series: Allegiant (2016) - Mark Waters (2)
Freaky Friday (2003)
Vampire Academy (2014) - Chris Columbus (2)
I Love You, Beth Cooper (2009)
Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief (2010)
この中ではウェス・ボール監督だけが『メイズ・ランナー』シリーズしか監督作品がないという点で違うかな。年齢も1人だけ30代で若い。『メイズ・ランナー』シリーズは、脚本もT.S. Nowlinが全て担当していて、チームでつくった作品だったといえる。
『The Hunger Games: Mockingjay - Part 1, 2』も、もともと1つだったのを2回にわけたからかもしれないけど、Peter CraigとDanny Strongの2人が続けて脚本を担当している。また、『Twilight』シリーズは監督が代わっても、全ての脚本をMelissa Rosenbergが担当している。
他の脚本も監督と同じく、多くても3作品だった。
- Michael H. Weber / Scott Neustadter (3)
The Spectacular Now (2013)
The Fault in our Stars (2014)
Paper Towns (2015) - Jessica Sharzer (2)
Speak (2004)
Nerve (2016) - Shauna Cross (2)
Whip It (2009)
If I Stay (2014) - Fran Walsh (2)
The Lovely Bones (2009)
The Mortal Engines (2018) - Jesse Andrews (2)
Me and Earl and the Dying Girl (2015)
Every Day (2018)
マイケル・H・ウェバーとスコット・ノイスタッターのコンビはこれからもYA映画化を担当しそう。30代のジェシー・アンドリューズは脚本を担当した映画はこの2作だけなので、今のところYA作品専門といえる。
つぎは出演者について、主要な役に3作以上出演している人をピックアップして調べてみた。今回も続編作品については1出演にカウントした。
この結果でいうと、ニック・ロビンソンは山﨑賢人で、アマンドラ・ステンバーグは土屋太鳳か川口春奈ということになる?そして2人が共演した『Everything, Everything / エブリシング』(2017)はキラキラ映画といえるかもしれない。
顔ぶれをみるとやはり青春映画に多く出ている俳優が多いわけだけど、その中でもキラキラ映画っぽいって考えるとしっくりくるのがおもしろい。エマ・ロバーツは日本のキラキラ映画っぽい『誰かが私にキスをした』に出ていたし。女優の並びは健康的で清潔感ある感じ。一方、俳優の顔ぶれはアレックス・ペティファー以外文化系よりなのが特徴。それが少女漫画原作の映画にキャスティングされそうな理由かな?おもしろいからリキャスト企画やってみたいな。
「最近のYA小説原作ものって少女漫画っぽくない?」っていうところから、今回はヤングアダルト(YA)小説の実写映画化作品をまとめてみた。製作陣にはキラキラ映画的といわれることが当てはまるとはいえなかったけど、俳優はなんか感じるところがあった。次はもっと「キラキラ映画とは」みたいなところに迫っていけたらと思う。
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