Damsels In Distress ~『クルーレス』と『ハイスクール白書』のあいだ
私の語学力と読解力ではこの話がそこまで理解できなかったのが残念だけど、それを差し引いても楽しい映画だった。
なんと言っても女の子たち!
女の子キャストの力がすばらしい。
主人公、Violet(Greta Gerwig)は
思い込みが激しく、思い立ったらとことんやる。誰にでも優しい聖女のようなところが逆に不気味。
この主人公に感情移入するのは難しいと最初思った。
『クルーレス』のアリシア・シルバーストーンとか『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』のリース・ウィザースプーンとか、『セイブド! 特別編』(最近また観た)のマンディ・ムーアとかみたいな。
まわりを激しい勢いでのみ込んでいくドラマ・クイーン。
でも、見ていくうちに、こういう人っているよねと思うようになるのがすごいと思った。
Greta Gerwigの清潔で高級な雰囲気の見た目もぴったりだった。
そんなVioletにはちゃんとSidekick(とりまき)が2人いる。
ひとりは、『クルーレス』のシェールの親友みたいな、長年の幼なじみでVioletのことをよく知っているから、冷静にチクリと突っ込みを入れるような子、Rose。スタイルが良くて上品なファッションが似合う。しっかり者で厳しいお姉さんタイプ。
もうひとりは、『ミーン・ガールズ』 のアマンダ・セイフライドみたいなちょっと浮かれた子、Heather。アニメみたいな声で、小柄でかわいらしい容姿(だから普段はみんなぺたんこシューズなのにヒール履いてる)。おバカだけどちゃっかりしてるようなタイプ。
Lily, Priss, Heather, Violet, and Rose 三人組とそうじゃない人たちの服装の差! |
彼女たちは、大学の男子生徒、特に着替えも部屋の掃除もしないで飲んだくれているようなタイプが大っ嫌い。
そして、「自殺防止センター」を開いていて、鬱などに悩む学生を救おうと活動している。
2年生で転校してきたLily(Analeigh Tipton)に目をつけて、彼女を仲間に入れ込む。
Lilyは(適度な距離を保ちつつ)彼女たちと行動を共にするようになる。
悩み事を相談すれば、Violetたちなりの考え方で答えが返ってくる。
そこで、それを丸呑みにしないのがLilyのおもしろいとこ。
ちゃんと反論する。ってか、だいたい逆の意見。じゃあ何で一緒に行動してるんだろうって思うけど、Lilyは少しだけリードしてくれるような人が好きみたい。
ある信条を持っていて、それにそって生きているような人に魅力を感じるような。
夏の間に好きになった人は、彼女持ちのフランス人でアーティチョークを食べてるような人。
また、バーで「あちらのお客様からです」って感じにお酒をおごるようなキザな男(Adam Brody)にも気持ちが揺れる。
Analeigh Tipton and Adam Brody スーツ着てると大人っぽく見えるね。 |
自然体で生きているLilyが恋愛で上手くいっているのに対して、真面目に努力している自分はうまくいかないことでプッツンとおかしくなってしまうViolet。
それでも彼女は彼女らしく問題に立ち向かい解決し、生きていく。
人間は成長の段階でまわりの環境から影響を受けて人格が形成されていくんだけど、小さいころから身についた習慣って一生物だったりするし、子どもの時の育ち方によって性格や好みも変わってくるし、それくらい育った環境って大事なんだなあと思った。
同時に、あるていど成長した人の思考や行動をみると、だいたいどんな風に育ってきたのかなってのも想像できると思った。
私、血液型診断も結構信じちゃうんだけど、兄弟などの家族構成もその人の性格を知るのに役立つと思ってる。
でも、その小さいときにある程度固定された性格も、その後に付き合う人たちによって変化していくんだともわかった。
それが大人でも子どもでも、男でも女でも。
芸術や学問によっても考え方や好みが変わるかもしれない。
でも、人から与えられる影響の方が大きい気がする。
だから人間はひとりでは生きられないって言われているんだと思う。
そんなことをこの映画を見て思った。
大学の学生寮ってそれぞれに似たような人たちが集まっていると思うけど、それが交わった時のがおもしろいことが起きる。
超潔癖な3人組に、自由だけどまわりに染まらないLilyが入ってきたことで変化が起こる。
他は、Aubrey PlazaとAlia Shawkatがちょっとだけどインパクトのある役で出てくるのもうれしい。
だってこの映画に出てくる男の子たちって本当にイケてないんだもん。
Adam Brodyいなかったら冴えなすぎ。(Adam Brodyもまだ大学生やってるんだって言われそうだけど、無理ないからOK)
でも逆にこんだけコンサバな男子を集められたのはすごいと思った。
映画界ってもっと派手で個性的な人たちの集まりじゃないの?って。
だから、この映画のキャスティングチームは、それも含めてすごく完璧な仕事してて尊敬。
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