Date and Switch ~高校卒業までに童貞喪失を目指して奮闘する幼なじみの話にひとひねり
小学校からの幼なじみが、高校卒業までに童貞を卒業しようとする話というのはよくある設定なんだけど、この映画がちょっと違うのは、そのうちのひとりがゲイであることを告白するところから始まるからだ。
主人公のMichael (Nicholas Braun)は、親友Matty (Hunter Cope)がゲイということを受け入れようと努力し、当初の目標であるプロムまでに童貞喪失してマリファナブラウニーを食べる!を達成しようと奮闘する。ここでゲイというのが否定的にとられることはなく、すんなり受け入れられるのが現代的。それよりも長年嘘をついていたこと、一緒に目標を立てたのにそれを一緒に達成できない(体験を共有できない)ことの方が悲しく、怒りのもととなっている。
「高校卒業前に童貞を卒業しようとする話」として真っ先に頭に浮かんだ『スーパーバッド 童貞ウォーズ』も、幼なじみのブロマンスが印象に残るので、この映画もそっち方面に進むのかなと思ったら、より依存していたのはゲイの子の方じゃなかった。Mattyはそれまでにすごく悩んで考えてきたんだろう。彼の苦悩の部分はこの映画の中心ではない。もうだいぶ達観していて、Michaelを親の目線で見守っているような余裕がある。その分、Michaelがひとりで苦悩する。そんな彼を救ったのは、理解のある親の助言だった。
自分では納得しているMattyの両親は幸せな夫婦で、幸せな家族のようだけど、Mattyはカムアウトした自分が認められないとあきらめている。一方、離婚を経験しているMichaelの父親(Nick Offerman)はMichaelに寄り添い、ちょっと過剰なほど彼を気にかけている。その過剰さがコメディとして効いてたけど、その言葉は真実でいい言葉ばかりだった。「何かあったら話してくれ。お父さんは何があってもお前を愛しているよ」「お前が幸せだと思うことをしなさい」。ちょっと的が外れてたかもしれない言葉はそれでも息子に届く。そして、プロムでの感動のスピーチ。
Mattyがいかにも見た目でゲイだとわかるタイプじゃないのもコメディでは新しいし、メキシカンプロレスやゴーカートっていう遊びも男の子っぽいものだし、アニメソングをインストでカバーするバンドをやってるってのもひねりがあっていいなと思った。
ニコラス・ブラウンは子役からいるけど、すごく背が伸びてしまってそれが逆目立ちするなという印象だったけど、この映画では、繊細に見えて真っ直ぐで不器用な男の子を好演していた。ハンター・コープが男らしい分、かわいく見えた。Dakota Johnsonは高校生には見えなかったけど、文系でさばさばしていて理解がある女の子Emの設定に合っていた。Sarah Hylandがビッチ役なのもよかった。
主人公の部屋にはThe Black Keysのポスターが、文系のEmの部屋にはTegan and Saraのポスターがあって、それっぽいなと思った。Free Energyの「Bang Pop」がすごく効果的に使われていたのがよかった。
学園物は全部こうすればいいってもんじゃない |
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